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ソードアート・オンライン〜ニ人目の双剣使い〜
鋼糸
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いたから動じなかったよ

「う、うん。てやー!!」

己を奮いたたせるように、普通よりも大きな声を出してヘイトウルフに向かって行く
それを横目で見つつ索敵を続けた俺は悪態をついた

「くそ……他のプレイヤーか……」

ポップ速度がかなり早いのだ
その理由はヘイトウルフのもう一つの特徴。それは一番近くのプレイヤーに増悪の対象を移すこと
今、別のプレイヤーが洞窟内にいるらしい
そのプレイヤーが増悪値を稼ぎ、それに巻き込まれた形となる

「ユウキ……一旦退くぞ!」

俺だけなら問題ない
だが、ユウキもいるとなれば話は別だ
ユウキの纏っている初期装備では一撃は耐えられるにしても、看過できないほどのダメージを受けるだろう

「えっと、どうして?」

「敵の数が多過ぎるんだ」

「ふーん……大丈夫だよ。ボクにかかればここら辺の敵の十や二十余裕だって!」

幸か不幸か、ユウキにとって敵は弱過ぎた
それがユウキの危機管理能力を麻痺させ、やがて慢心へと繋がる

そしてユウキの前に光る目が三対現れた
いつものようにユウキが迎撃に向かう

出会い頭に刃を一閃。抵抗すら許さず先頭の一匹を斬り捨てる
間髪容れずに二匹目が飛び掛かってくるが、ユウキは刃を盾にしてヘイトウルフを弾き返す

だが
とうとう剣の耐久値が限界を迎え、それまで屠ってきたモンスターたちと同じように無数のポリゴンとなって砕け散った

「えっ……」

驚きの声をあげて硬直するユウキ。もちろん、ヘイトウルフがこの好機を逃すわけがない
弾き返されたヘイトウルフの横を抜け、最後のヘイトウルフがユウキの喉元を目がけて歯を剥き出しにして噛み付こうとした

「やっぱりこうなったか……」

ユウキの武器が限界に達していたことを予測していた俺はポーチの中から準備をしておいた投げナイフを手首の動きだけで投擲する

ユウキの喉元を狙っていたヘイトウルフの喉に投げナイフは付き刺さり、その勢いに押されてヘイトウルフは何もない弧空を噛むことになった

「あっ……えっ……?」

「下がれ、ユウキ」

立て続けに起こる状況の変化について行けず、茫然自失となっているユウキに一応声をかけ、腰から剣を抜刀

即座に突撃系ソードスキル、レイジスパイクを選択しヘイトウルフの一匹を斬り裂いた

ユウキに弾き飛ばされていたもう一匹のヘイトウルフが体勢を立て直し、こちらに飛び掛かってくるが、ソードスキル使用中に詠唱していた魔法により発生した闇の壁に再び弾き返される

ソードスキル後の硬直が解けた俺は残りの一体の首を跳ねとばした

「さてと……」

軽く息を吐いて俺はユウキの方へ振り返る

「何か言うことは?」

「ご、ごめんなさい…
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