第62話
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つもより素早く準備すると、誰よりも早く寮を出発する。
バスには乗らずに走って常盤台まで向かう。
だが、周りの生徒達は麻生を見るとヒソヒソを小声で話し合う。
いつもは麻生の事を落ちこぼれの負け犬みたいな目で見ていたが、今回は違った。
何やら麻生と視線が合うと、顔を赤くして視線を逸らすのだ。
(本当に何が起こっているんだ?)
麻生は首を傾げながら常盤台に向かう。
そこからの授業にも異変があった。
いつもの様に麻生に視線が集まるのだが麻生が視線を感じた方に向くとその生徒は顔を赤くして視線を逸らす。
他の生徒でも同様だった。
麻生は美琴になぜこうなっているのかを聞くと呆れたような表情をした。
授業中なので理由は後で説明する事になった。
昼休みになり麻生は美琴にその理由を聞き出そうとした時、麻生の周りに常盤台の生徒達が集まってきた。
「麻生さん、お昼をご一緒にでもどうですか?」
「わたくしとご一緒にお昼の時間を過ごしましょう!!」
「いいえ、わたくしとですわ!!」
朝の食堂のような言い合いになり麻生がどうすればいいのか迷っていると。
「あ〜、皆ごめんね。
今日は私とご飯を食べる約束になっているのよ。
ほら、さっさと行くわよ。」
「あ、ああ。」
美琴に腕を引っ張られ、屋上まで連れて行かれる。
屋上には誰もいなかった。
ようやく落ちつたので、美琴に理由を聞く。
「それでどうしてあんな事になっているのか説明をしてほしいんだが。」
麻生がそう言うと美琴は少し苛立った口調で話す。
「別にあんたが昨日の勝負で彼女達に何もしなかったでしょう。」
「ハリセンで頭を叩いたけどな。」
「それは重要じゃないのよ。
あれだけ能力で攻撃され、さらにはいつも嫌がらせを受けているにも関わらず酷い事はしないで紳士的に振る舞った所が、意外に好印象だったみたいよ。
一日経てばご覧のとおり。
すっかり皆はあんたに夢中な訳。」
「あの態度が紳士的だと?」
麻生は昨日の自分の振る舞いを思い出すが、一切紳士的な部分はなかった。
美琴もそこについては深く同意している。
「まぁ、普通の男なら何にも起こらなかったでしょうけどあんたはまぁ、その・・・顔は良い方だし、頭も良い、それに追加するように能力も強いとなると注目の的なんじゃない。」
ようやく事態がとても面倒な方向に向いている事に気づいた、麻生。
途端に面倒くさそうな表情に変わる。
「それじゃああれか。
俺は一時編入期間が終わるまで毎日あんな風に絡まれるのか?」
「・・・・・・そうなんじゃないの。」
「どうしてお前はいきなり不機嫌になっているんだ?」
「う、うるさい
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