第四十六話 面白過ぎるぞこの世界
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ても、こりゃウカウカしてられねえよな!」
この場で、焦り顔を作っているのはアンシーだけだ。
他の登録者や職員達も、いきなり現れた弱そうな少年が、ホラを吹いているとしか思っていないだろう。
ただ、アンシーだけは、まだ完全には信じ切ってはいないが、ジュネイの言葉が引っ掛かっているので笑うことができない。
すると、闘悟は静かに目を閉じ微笑する。
「そうだな。ウカウカしてると、先輩も形無しになるからな」
その言葉を聞き、さすがにカチンときたのか背の高い男は闘悟を睨む。
「おい小僧、あんまり調子に乗るなよ? お前のギャグに乗ってやってるってのが分からねえのか?」
「オレはホントのことしか言ってねえ」
「ああ?」
「さっきの魔力はオレが原因だし、アンタらがウカウカしてると…………馬鹿を見ることになるぜ?」
「…………ほぅ、今日が初めての登録の小僧が、ずいぶん舐めたことを言ってくれるな」
すると、三人の中の一人、顔も体も細長いガリガリ男が話し出す。
「アニキ、格の違いって奴を教えてやるっすよ」
同じようにもう一人の太ってるデブ男が話す。
「そうぶひ。こんな世間知らずなガキには、社会勉強っちゅうもんを教えてやるべきぶひ!」
何だコイツありえねえ!
語尾にぶひって、存在がファンタジー過ぎんだろ!
何て面白え世界だ『ネオアス』!
「……そうだな。ただまあ、こんなチビガキと本気でやっても、俺には何のメリットもねえ。だからこうしよう」
背の高い男はニヤッと笑って一本指を立てる。
「一発だ。俺に一発本気で殴ってみな。なあに、俺は一歩も動かねえからよぉ」
すると、二人の子分らしき男達がコソコソと話し出す。
「きたっすよきたっすよ、アニキの試しの一発」
「ぶひ、だが多くの連中がここで勘違いをするんだぶひ」
「そうっす、アニキは一歩も動きゃしねっすが、手は出すんすよねぇ」
「そうぶひ、アニキが動かないと思っている奴は、平気で懐(ふところ)に入ってくるんだぶひ。その瞬間、パンチでズゴッだぶひ」
「足は動いてねえっすから、約束通り一歩も動いてはいないんすよね」
「不憫(ふびん)なガキだぶひ。登録初日から消えちまうことになるなんてぶひ」
「ま、アニキを怒らせた罰ってやつっすよ」
二人は怪しく微笑みながら会話をしている。
もちろん、この会話は闘悟には聞こえない。
「さあ、どうする?」
背の高い男は楽しそうに笑いながら聞いてくる。
普通なら、こんなガタイのいい男に凄まれたら委縮するだろう。
だが、残念ながら闘悟は普通ではない。
闘悟は男と同じように笑いを返す。
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