護堂とエリカと
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女も正気を失いかけているので、実際にこのあとどういう対応をしたかは分からない。もしかしたら、本当に最悪の事態に陥っていたかもしれない。
狂気には二種類ある。
自覚出来る狂気と、自覚出来ない狂気である。
自分が狂った行動をしていると自覚出来るものと、自分自身は普段と同じ行動を取っていると思っているのに、実際は狂気の沙汰としか思えない行動をしている物だ。
まつろわぬナイアーラトテップの権能が齎す狂気とは、後者の自分自身では全く自覚出来ない類の狂気である。
「クソ!何なんだよ一体!ルクレチア・ゾラっていう人だよ!四十年以上前に、その人が日本にこの石版を置いていったんだ!なんでも、祟りがあるとかいう村で、それを鎮める為に使ったとか・・・。それを届けに来たんだよ!」
もうヤケクソである。
「ルクレチア・ゾラ・・・!?あのルクレチア・ゾラが、その石版を置いていったの!?」
流石に驚くエリカ。それ程、ルクレチアという名前は有名だ。
天の位を極めた魔女である『プリンセス・アリス』とは対極に、地の位を極めた魔女である『ルクレチア・ゾラ』。
『サルデーニャの魔女』、『イタリア最高の魔女』とも呼ばれる彼女の名前は、魔術関係者ならば知らない者はいないほどに有名である。その魔女が、日本に神器を置いていったというのだ。
「神器よ・・・?世界でも殆ど発見されていない神器なのよ?それも、能力は特上。死にかけていた貴方を、一瞬で治す程の力を持っているのよ?・・・それを、日本に置いてきたっていうの・・・!?」
魔術師の常識として、有り得ない事を言われたエリカは困惑した。もしかすれば、彼女はこの神器に選ばれなかったのかも知れないが、とはいえ歴史的価値は計り知れない代物である。魔術関係者としては、神器を所有しているというだけで泊がつくのだから、それを置いてきたという言葉がどうしても信じられなかった。
「魔女として、高みに座っている彼女だからこそ、【魔界】に神器をポンと置いて来るなんて事が出来るのかもしれないけど・・・・・・気前が良すぎるわね・・・。」
正直、自分との大きな違いを見せつけられたようで落ち込むエリカ。もし彼女が、四十年前のルクレチア・ゾラの立場なら、必要だったからと言って、神器を置いて来るなんて事が出来るだろうか?と考えて、即座に出来ないという答えが返ってきてしまったからだ。
途轍もない程のお嬢様で、セレブな生活をしている彼女ですら、そんな事は出来ない。それ程神器というものは貴重で強力なのだ。
「・・・魔女?何でお前が、その人の大学時代のあだ名を知ってるんだ?」
護堂のその言葉に、エリカは呆れたような目を向ける。
「あだ名?馬鹿言わないで頂戴。彼
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