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問題児たちが異世界から来るそうですよ?〜MEMORY〜
〜3〜
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いの傷跡とみてとれる捩切れた木々が散乱していた。あの水流に巻き込まれたが最後、人間の胴体など容赦なく千切れ飛ぶのは間違いない。

「十六夜さん、下がって!」

「下がるのは貴女の方よ黒ウサギ。今、貴女が手を出すべきではないわ」

 黒ウサギは庇おうとするが、女性に止められる。

「誰だか知らねぇがその女の言う通りだぜ黒ウサギ。これは俺が売って奴が買った喧嘩だ。手を出せばお前から潰すぞ」

 本気の殺気が篭った声音だった。黒ウサギも始めてしまったゲームには手出しできないと気づいて歯噛みする。十六夜の言葉に蛇神は息を荒くして応える。

『心意気は買ってやる。それに免じ、この一撃を凌げば貴様の勝利を認めてやる』

「寝言は寝て言え。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない。敗者を決めて終わるんだよ」

 求めるまでも無く、勝者は既に決まっている。

 その傲慢極まりない台詞に黒ウサギも蛇神も呆れて閉口した。

『フン―――その戯言が貴様の最期だ!』

 蛇神の雄叫びに応えて嵐のように川の水が巻き上がる。竜巻のように渦を巻いた水柱は蛇神の丈よりも遥かに高く舞い上がり、何百トンもの水を吸い上げる。

 竜巻く水柱は計三本。それぞれが生き物のように唸り、蛇のように遅いかかる。

 この力こそ時に嵐を呼び、時に生態系さえ崩す、“神格”のギフトを持つ者の力だった。

「十六夜さん!」

 黒ウサギが叫ぶ。しかしもう遅い。

 竜巻く水柱は川辺を抉り、木々を捩じ切り、十六夜の体を激流に呑み込む―――!

「―――ハッ―――しゃらくせえ!!」

 突如発生した、嵐を越える暴力の渦。

 十六夜は竜巻く激流の中、ただ腕の一降りで嵐をなぎ払ったのだ。

「嘘!?」

『馬鹿な!?』

「流石ね」

 驚愕する声。十六夜のそれはもはや人智を遥かに超越した力である。しかし蛇神の一撃もそれだけでは収まらず攻撃の余波が黒ウサギ達二人を襲う。

「しまった!下がって」

「だから、下がるのは貴女の方よ黒ウサギ」

 庇うように女性の前に出る黒ウサギだったが女性に押し止められる。

 蛇神の一撃は余波とはいえ呑み込まれれば人はただではすまない。にもかかわらず後ろに下がろうとしない女性に対して黒ウサギは焦っていた。

「弾き跳ばせ!『拒絶の衣』!」

 女性の和服の一部が僅かに光ると攻撃の余波は見えない壁に弾かれたかのように止まった。

「言ったでしょう黒ウサギ。自分の身くらい自分で守れるって」

「・・・・・・!」

 黒ウサギは驚きを隠せなかった。黒ウサギが女性と最初に出会った時には女性自身にも女性の持ち物全てにも強い力は感じなかったのに。

 女性がギフトと思われ
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