暁 〜小説投稿サイト〜
シャンヴリルの黒猫
50話「第一次本戦(1)」
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『大逆転! Bランク水魔道士、アイン・シティ選手が一気に形勢有利に!』

『いい戦略ですね。始めの爆発をあえて中央に設定したのは、このためだったというわけです』

『なるほど!』

 結局このまま魔道士がごり押しで勝利、やんややんやの大喝采となった。
 その他の試合では他に魔道士は勝ち抜いておらず、やはりこのような“場”になると、魔法士は不利なのだろうと思った。

「さて、次か」

「頑張ってください」

「そうだ、アッシュ!」

「ん?」

「今日の大会が終わったあと、外でご飯食べてきましょ! お店はチェックしてあるから!」

「ん、分かった」

「優勝の前祝いですね!」

「はは、気が早いよ」

「勝つのよ!」

「はいはい、お姫さまのおっしゃる通り」

「アッシュ!」

「わかってるって。んじゃ、勝ってくる」

 ぽんぽんと銀色の頭を叩くと、コートのポケットに手を突っ込んで、いかにも気だるげに階段を上っていった。

「まったく」

「ふふ。仲よろしいんですね」

「ん、仲が悪かったら護衛になんて雇ってないわ。まあ、彼ならちょっとくらい仲悪くても、有能だから手放さないけどね」

「そういうのじゃなくて…」

 困ったような顔で苦笑するクオリ。ユーゼリアは首を傾げた。

「あはは…やっぱりなんでもありません」

「なあに?」

「こういうのは静かに見守っておいた方が、当人たちのためですからね」

「?」

 再度首を捻るユーゼリアに笑って誤魔化すと、クオリはそれよりも、と試合会場を指差した。

「アッシュさんが来ました。応援しましょう!」


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