第一話、時の庭園
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、俺はよく知っている。でもなぜだろう。自分がなぜそれを知っているのか……すれすらも、分からない。
ーーズン!ーー
急に襲ってきた衝撃に、俺は歯を食い縛った。そして、そのすぐ後に、金色の閃光が弾けてーーー俺の意識は、消えた。
「行き倒れを拾ってきた?」
「はい」
倒れていた少年の手当を粗方終えたリニスは、後のことを一旦フェイトに任せ、自分は自らの主であるプレシア・テスタロッサに事の顛末を伝えに来ていた。
巨大な椅子の背もたれに体を預けてリニスの報告を聞いていたプレシアは煩わしげに眉を潜め、溜め息をついた。
「今すぐ何処かへ捨ててらっしゃい。これ以上、邪魔が増えるのは勘弁したいわ」
この反応は、リニスにとっても予想通りだった。自らの主は目的に必要のないものには興味をまるで示さない。
いつもなら、リニスはプレシアの意思に則りあの少年を捨てていただろう。だが、今回は違った。彼女は、あの少年を捨てようとは思わなかった。
「プレシア、貴女先日、気になる一族がいると言っていましたね?」
「ええ、それが?」
それを聞いたのは二日前のこと、いつも通り、無理しながら研究を進めるプレシアの様子を見に来たときのことだ。彼女は一つのモニターをリニスに見せた。
そこに写っていたのは、綺麗な青髪と真紅の瞳、そして虹色の魔力を持つ男の姿だった。そのとき一瞬、リニスはプレシアがこの男に惹かれているのかと思ったが、実は違った。惹かれているには違いないが、それは全く趣の異なる方向だったのだ。
男の名は『オーヴェル・フェルナンデス』。なんと、あの古代ベルカ時代の王『聖王オリヴィエ・ゼーゲブレヒト』の直系だという。
リニスでも昔聞いたことがあった、『聖王の力は人命をも司る』。プレシアはその力に、そしてその力を持つであろう男に、ただ一つの目的を完遂するために注目したのだ。
しかし、調べてみれば、その男と家族、すなわち聖王の力を受け継ぐであろう全ての人間は、惜しくもプレシアがオーヴェルのデータを入手する前に、ある組織によって皆殺しにされていた。四人家族のうち、父母は心臓を毒ナイフで刺され死亡。6歳の長女は首を引き裂かれ即死。そして7歳の長男は、まだ遺体が見つかっていないらしいが、現場に少年のものと思しき血が大量に流れていたため、恐らくは生きていないだろうとされている。
あの時のプレシアの落ち込みようは、それはすごかった。
だが今回は、もしかしたらそれを帳消しにしてくれそうな事態なのだ。
「拾った少年の特徴なのですが、青髪に恐らく真紅の瞳、そして、左目の付近に剣十字の痣がありました」
リニスが報告していく内に、プレシアの表情が驚くほど変わっていった。
諦めから、希望
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