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八条学園怪異譚
第二十六話 植物園その十三

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「まあ次に何処行くかはまた考えるってことで」
「今はね」
「ああ、パーティーだよ」
 猫又はあえて外来語を出して二人に話した。
「精霊さんやコロポックルさん達とさ」
「そうね、今から行って」
「そうしてね」
 二人は微笑になってそのうえで猫又に応じた、そうしてだった。
 二匹と一緒に広場に戻った、するとそこでは。 
 もう宴がはじまっていた、その石狩鍋にジンギスカン鍋に。
 海鮮丼に刺身、それとジャガイモ料理にラーメンと北海道の味がこれでもかとあった、しかも花びらを入れた酒もある。 
 コロポックル達も精霊達も一行に顔を向けて言った。
「あっ、おかえり」
「用事は済んだのかな」
「ええ、もうね」
「済んだわ」
 二人は彼等にすぐに答えた。
「ここも違ったけれど」
「用事は終わったわ」
「そう、じゃあ今からね」
「一緒に楽しもう」
 精霊達もコロポックル達も笑顔で返す。
「石狩鍋は最高だよ」
「お酒に花を入れると違うんだよ」
「個人的にはね」
 愛実はその料理や酒達からあるものを見てその目を輝かせていた。その見ているものとは何かというと。
「海鮮丼にローズワインに花びらを入れたのね」
「あっ、海鮮丼なんだ」
「それにローズなんだ」
「海鮮は白ワインだけれどね」
 この組み合わせは定番である。
「それでもローズに薔薇の花びらって」
「これは美味しいよ」
 薔薇色の和服の精霊が言ってきた、どうやら薔薇の精霊らしい。
「もう病みつきになるよ」
「私は石狩鍋に」
 聖花も言う。
「それに桜の花びらを入れたお酒ね」
「これだね」
 今度は桜の精霊らしき桜色の和服の精霊だった。
「これがいいんだね」
「ええ、本当にね」
 こう言ったのである。
「それじゃあ今からね」
「さて、おいら達もな」
「参加させてもらってね」
 猫又達も加わる、そうしてだった。
 二人はこの日は植物園の中で楽しんだ、そうしてだ。
 次の泉の候補地についても考えた、具体的に何処に行くかを。


第二十六話   完


                    2013・2・17
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