暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
Determination:決意
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再びの衝撃波が前髪を揺らすのを感じながら、リーファははっきりと見た。
レンに突進しようとしていたシグルドが、まるで見えない砲弾に正面からぶち当たられたかのように運動ベクトルを真反対にして、吹っ飛ぶ様を。
吹っ飛んだシグルドは面白いくらいに何度もバウンドしながら、風の塔一階ロビーの壁に隕石のように突き刺さった。すぐさま当たったところの壁に、破壊不能を現す紫色のウインドウが浮かび上がる。
声もなく項垂れるシグルドにゆっくり近付ていくレン。
しゃがみこみ、シグルドの眼前に懐から出した何かを垂らした。
リーファはもっとよく見ようと眼を凝らした。あれは────
「……懐中時計?」
そう、懐中時計だ。長い銀の鎖に支えられて垂れ下がっている。遠目には見えにくいが、かなり精緻な銀の細工が施されているように見える。
それを見たシグルドの反応は激烈だった。
顔色がさっと青空のような真っ青になり、次いで公園の砂場の砂のような土気色になった。だいじょうぶかな、とリーファは咄嗟に思ったが言わなかった。
のろのろと顔を上げたシグルドは、やけに感情が失われた表情でリーファを見る。
「リーファ……領地を捨てる気なのか………」
その言葉に、リーファははっとして眼を見開いた。
ALOプレイヤーは、そのプレイスタイルによって大きく二種に分かれる。
ひとつは、今までのリーファはシグルドのように領地を本拠にして同種族のパーティーを組み、稼いだ
金
(
ユルド
)
の一部を執政部に上納し、種族の勢力を発展させようとするグループ。
もうひとつが、領地を出て中立都市を本拠とし、異種族間でパーティーを組んでゲーム攻略を行うグループだ。この場合、レンとカグラのコンビがそれに当たるだろう。
前者は後者を目的意識に欠けるとして蔑視することが多く、領地を捨てた───自発的、あるいは領主に追放された場合を問わず───プレイヤーを
脱領者
(
レネゲイド
)
と呼称している。
リーファの場合は、共同体としてのシルフ族への帰属意識は高いのだが、スイルベーンが気に入っていることと、あとの半分は惰性で領地に留まり続けていた。
だが今シグルドの言葉によって、リーファの中に、解き放れたいという欲求が急速に浮かび上がってきたのだった。
だから────
「ええ………そうよ。あたし、ここを出るわ」
リーファは真正面からシグルドの顔を見、はっきりと言った。
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