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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
Determination:決意
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が、レンの背中からは全く動揺する気配が伝わってこない。いや、むしろつまらなさそうに見えるのは気のせいだろうか。
小さき紅衣の少年は、不意に迫り来る長剣に向けてふいっと右手を上げた。
何の気負いもなく、ただ自然に。
それこそ授業中に挙手するような、そんな自然な動作。
「遅い」
途端、バシイィッとガードエフェクトの閃光と音が撒き散らされ、レンの右手とシグルドのブロードソードの接地点を中心に衝撃が放射状に広がった。
放られた衝撃波は、風という形となってリーファ達の前髪を嬲る。
その中で少年が行ったのは────
「う………そ……」
少年が上げた右手、その人差し指の先と中指の先の間でシグルドのブロードソードは完璧に受け止められていた。
言わば、究極に安易化された真剣白羽取りである。
事態をやっと視認したのか、シグルドの顔に驚愕の色が浮かぶ。
次いで、にわかに焦りの表情を浮かべてブロードソードをレンの指から引っこ抜こうとするが────
抜けない。
とくに力を込めている様子でもないのに、レンの指に埋め込められた長剣はビクともしない。
しかも、攻撃判定表示される刃部分はレンの皮膚上のどこにも触れていないので、レンのHPも減らない。
おそらく、これが対刀術の一つの究極である、白羽取りの最も怖いところであろう。死亡率が高いことの反面、一度成功したら逃れることが容易ではないこと。
それは言い換えれば、相手は一度それをやられたら対処法がないのである。
紅衣の少年は右手を、挟んだブロードソードごとねじって、その傷一つない艶やかな刀身を顔の前まで持ってきて、一瞥するや吐き捨てるように言った。
「………やっすい剣」
その言葉が固まるシグルドの前に溶けるように消えると同時に、レンは右手を少々複雑な軌道を描いて振った。すると────
ぽきん、と心地いい音とともにその刀身が中心から真っ二つにへし折れた。
「な………」
再び絶句するシグルドの前で、レンは手の中に残ったほうの切っ先をぶらんと垂れ下げて顔の前にまで持ってくる。
「ほぅら。薄い輝きに、薄っぺらな刀身………。まぁ、持ち主がこんなド三流だったら当たり前か」
ぶちっ
そんな音がリアルにシグルドの額辺りから聞こえた気がした。
「う、ああああああああぁぁぁぁぁぁ!!オレをバカにするなああぁぁァァッッッ!!!」
叫びながら、手の中に残った、柄だけになってしまったブロードソードを投げ捨て、拳を握ってレンに特攻する────
ガアァアァァァアアアアンンッッッ!!
破壊不能オブジェクトをぶっ叩いた時特有の、大きなドラム缶にボールをぶち当てたような音と紫色の閃光が走った。
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