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シャンヴリルの黒猫
48話「第二次予選(1)」
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ッフ達が現れる。

「時間になりました。第二次予選を開始します。二次予選は単純、乱戦方式の勝ち抜き戦です! ここにいる選手は28人、うち10名、最後まで残っていた者を勝者とします」

 ここまで言った時点で、多くの選手はバッと周りを確認した。強力な選手がいないかどうか、確認したのである。

 一方全く動じなかった少数派は、恐らくBやB+ランカーなのだろう。自信に満ちた表情でスタッフの話を聞いている。
 アシュレイもこの少数派だが、彼は単純に周りを見ても誰が名のある戦士なのかが分からないからだ。ふむふむとスタッフの言葉に耳を傾けていた。

「一次予選のように、また円形の結界を張らせていただきます。範囲は半径80m、強度は先ほどよりもありますが、上級魔法をなんとか耐えられるかどうかという程度のものです。あまり高位の魔法は乱射せぬよう、お願い申し上げます」

 それでも持ち運び可能な小型(あるいは中型)魔道具で上級魔法を防げるというのは、随分高級なものなのだろう、と頭のどこかで考える。

「また、一次予選と同様、命に関わるような攻撃は禁止とします。結界の外には10人のギルドの高位魔道士が待機しています。戦闘続行不可能とみなしたら即結界外へ転移、医療魔道士に治療を施させます」

(つまり殺しちゃ駄目だが本気で行けよと)

「最後に、この戦闘の様子も会場に中継されています。頑張ってください。何か質問は?」

 ひとりの槍使いが手をあげた。

「悪いが、その医療魔道士はどんなもんだい? 何人いる?」

「人数は8名、皆ランクB以上の人員です。余程のことが無い限り死に至ることはありません。また、明らかな過剰攻撃の場合、無断で守護結界を張る場合もあります」

 槍使いは安心したらしく、片手をあげて頷いた。周りを見回して他に質問者がいないことを確認すると、後ろに待機していた魔道士達が一斉に詠唱を始めた。青白い結界が現れ、再び彼らと選手を分ける。

「開始は1分後です」

 選手がバラバラに散っていく。結界を背に戦った方が有利だからだ。少なくとも、後ろからの不意打ちは有り得ないのだから。

 この為に配備された“時守り”の少女が、緊張した面持ちで手元のぴかぴかに磨いた懐中時計を見つめていた。あたりは静かだ。そう遠くないところにある町の喧騒が、やけに大きく感じた。

 少女が高い声で秒読みを始める。

「20秒! 10秒前……5、4、3、2、1、始め!」


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