第四十三話 ヒナ……君のママは怖いね……
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ーゴくん! でも我慢できなかったのよ、許してね?」
ウインクをされるが、闘悟には顔を引き攣(つ)らせることしかできなかった。
「いや〜最初に見た時から、お触りしたかったんだけど、娘の手前もあるし、我慢しようと思ったんだけど……できなかったわ!」
そんな明るく言われても。
できれば初志貫徹(しょしかんてつ)を貫いてほしかった。
「だって〜こんな触り心地がありそうな男の子。触らないなんて、むしろ失礼よ! ね? トーゴくん?」
いやいや、むしろ触りまくるのが失礼なんじゃ……?
「トーゴ……触って……ほしい……の?」
ヒナがキラキラした目で見てくる。
自分も触りたくてウズウズしている様子だ。
これは危ない流れだ。
この流れを作ったのは誰だ?
こうなったらその元凶を滅ぼして……あ、フレンシア様か。
うん、滅ぼすの無理。
諦めた方が身のためだ。
「ほしくはないけど……別にいいよ……」
とほほって感じだよ全く!
すると、ヒナが席を立ち膝の上に腰を下ろしてきた。
「これで……いい?」
「あ、ああ……」
もう好きにしてくれ。
「うわ! ヒナってばだいた〜ん!」
誰のせいだ誰の!
闘悟は叫びたい衝動をかろうじて抑え込んだ。
「す、すまないねトーゴくん。家内と娘が面倒かけて」
どうやら、この家でまともなのは家主のオルトロだけみたいだ。
恐らく彼も普段から大変な思いをしてるんだろうな。
主にフレンシア様のことで。
それからフレンシアは、自分の席に座ったが、ヒナは未だに闘悟の膝の上にいた。
「そうか、図書館の方にね」
オルトロが頷きながら話す。
闘悟はヒナと一緒に図書館に言ったことを話した。
「それで? 知りたいことは学べたのかな?」
「ある程度はですね」
「それは良かった」
ヒナを膝に乗せながら食事をとるという稀有(けう)な体験をして、食事は終わった。
さすがにこれ以上いたらクィルに怒られそうなので、お暇(いとま)することにした。
フレンシアは泊まっていくようなことを言ってきたが、さすがに断った。
若干ヒナが悲しそうな顔をして、メイド達の視線が突き刺さったが、また来ると約束をするといつもの表情をしてくれた。
ニコが言うには、凄く喜んでいる表情をしているらしいが、そこまで判別できるほどヒナとの時間は深くは無かった。
これから接していくうちに、彼女の感情の機微(きび)にも敏感になっていくかもしれない。
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