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魔王の友を持つ魔王
§34 撃墜されても死亡フラグになりはしない
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「甘粕さんに掛けあうのは……悪いよなぁ」

 くたびれかけた(ニンジャ)に請求しようものなら彼の心労を更に増やすことになりかねない。なんかとっても申し訳ない。残業代は最悪レアメタルを大量生産して密輸なりなんなりでカバーしよう、と考えてこれではお金が手に入るだけで残業代とは全く関係が無いことに気が付いて愕然とする。

「っと、終わり!! あとは機長だけ……!!」

 取り留めもないことを思いつつ手を動かした結果、スチュワーデス(今はFAというべきか)を含む職員全ても影に入れ、残るは機長室のみ。現実時間は十秒超えたかどうか、といったところか。

「ドア邪魔!!」

 瞬間的にドアを粉砕し、その奥へ。機長も同様にして幽世へ送る。

「結界と縄で二重の防壁、更にルーン守護で大丈夫だと思うんだけど……」

 一般人を幽世に放置など経験がないからどれだけ保つのかわからない。出来れば即解放してあげたい。いくら防御策を揃えても人間がどうなるかなど、試したことが無いからわからない。

「あぁ!! 大荷物忘れてた!」

 トランクを始めとする別室に送られた大量の荷物。アレを探さねば。何処だ。

「ダウンジングマシン何処だっけ!?」

 虱潰しに探すだけの時間はおそらくもう無いので、ダウンジングマシンを慌てて影から取り出す。さっき大量の人と荷物(いらないモノ)を入れたせいで倉庫が滅茶苦茶で取り出すのにとても時間がかかる。

「あぁ、もう!時間がないのに!!」

 苛立つ黎斗の周囲にはアムリタにエリクサに栄光の手に賢者の石、ヒヒイロカネの塊に仙丹と、魔術師垂涎の品が並ぶ。オハンや村雨、レイピアなどの武具も転がり黎斗の蒐集品(コレクション)の公開会場と化している。その巨悪っぷりは、床に転がる武具の数々を適当な騎士に装備させるだけで世界最強クラスの騎士団が完成するほどだ。

「くっそ、某青タヌキが映画で秘密道具即出せない理由が良くわかる……!!」

 あわや床が見えなくなる、という所でようやく目当ての物――オリハルコンのダウジング――を見つけ出す。

「よし!」

 黎斗の影が突如広がり、蒐集品の数々をひとつ残らず呑み込んでいく。強引な仕舞い方だから十中八九倉庫は荒れているだろうが片づけはまた今度。今は荷物の回収が優先だ。

「こっちか」

 ダウジングを片手に走り出す。目指す先は、すぐに辿り着く。壁は全て力技で強引に突破した。呪力強化万々歳。蹴るだけでドデカい穴が開く光景はもはやギャグにしか思えない。

「ここで全部か?」

 影が広がり残すことなく荷物の数々を喰らい尽くす。最後にもう一回ダウジング。忘れ物が無いことを確認する。残りはもう、無い。

「さて、あとは脱出だな」

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