第19話 有希の初陣
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届けると言う選択肢もない事もないのですが……。
しかし、それでは、殆んど宇宙人にアブダクションされた状態。何か恐ろしいモノに襲い掛かられて気を失った挙句に、次に気が付いたら自分の家に居た。こんな状況に陥らせると、最悪の場合、この少女に、何か妙なトラウマを残す結果にも成りかねませんし。
情報操作が得意な有希が記憶の操作を行う。
問題外。益々、宇宙人に連れ去られて、何かインプラントされるような状態みたいに成って行く一方で、解決策には程遠くなる。
少し、視線を在らぬ方向。この場に存在する少女たちから、何処とも知れぬ異世界より俺達を見下ろしている蒼き月に視線を移して、少し煮えかかった脳味噌のクール・ダウンを行う俺。
そう。それならば、残されている選択肢はひとつだけでしょうから。
「さつき、その女の子の事は任せられるか?」
この場に存在していて、この少女を任せられるのは相馬さつきと言う名前の少女だけ。まして、そもそもが、彼女が最初に、がしゃどくろに襲われていた弓月桜と言う名前の少女を助けようとしたはずですから。
最初に手を差し出したのですから、最後まで面倒を見るのが筋と言う物でしょう。
俺の頼みを聞いたさつきが、俺の顔を非常に不機嫌そうに睨め付けた。
しかし、
「問題ない。元々、彼女を助けようとしたのはわたし」
口調は不機嫌なままでしたが、それでも、そう答えてくれるさつき。そして、同時に彼女が発して居る雰囲気は、少なくとも否定的な負の感情などではなく、肯定的な正の感情。
彼女のその答えと、そして同時に発生させて居る気を読むのなら、この弓月桜と言う名前の少女の事を任せても問題はないでしょう。
確かに、有希に行き成り襲い掛かったりして、イマイチ正体不明の相手ですが、危険な雰囲気を纏った人物では有りません。それに彼女の言うように、最初に弓月桜を助けようとしたのはさつきの方です。
まして、俺の知って居る範囲内でも相馬と言う古い家が存在しているのも事実ですから。
ただ、がしゃどくろと、相馬の家。更に、『さつき』と言う名前に少しの引っ掛かりが残るのも事実なのですが。
「そうしたら、俺と有希は、その女の子にこの場で出会う訳には行かない人間やから、さっさと消えさせて貰うな」
それでも、この部分はおそらく俺の考え過ぎでしょう。
まして、彼の御方は不必要に一般人に祟るような御方では有りません。
いや、彼の御方の呪いは既に鎮まって居るはずですし、ここは東国などではなく、摂津国に属する地方だったと思いますから。
もしも、ここが『相馬の古内裏』で有るのならば少し危険かも知れませんが、ここは摂津の国。何の問題もないはずです。
そんな、胸の奥に潜む軽
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