第19話 有希の初陣
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で来た訳ですから、有希がこの問い掛けを否定する訳は有りません。
案の定、普段通りの透明な表情で俺を見つめたまま、彼女は微かに首肯いた。
彼女が首肯く様を最後まで確認した後、探知用の霊気を周囲へと放つ俺。
そして、次の瞬間、在る方向に歩み始める俺。その場所。公園内に植えられて居る落葉広葉樹としては、ごく有りふれた種類の桜の樹木の下に存在する少し大きめの石。
その存在の大半を土に埋められたと思しき石の傍らに立ち、そして、その石に対して僅かに手をかざし、最後の確認を行って見る。
……反応有り。この石に間違いなし。
「これが、水晶宮の方で用意してくれた結界材と言う事。これに、俺の霊気を籠めてから待機状態にして、実際のラゴウ星との戦闘開始直前に起動させて、ヤツの能力をダウンさせる晴明桔梗結界と為す」
そして、もしも、俺が時間までにラゴウ星を封じる事が出来なければ、この晴明桔梗は俺ごとラゴウ星を異世界へと封じる為の異世界へのゲートとする為の物でも有ります。
流石に、失敗しました。……の一言で終わらせる訳には行かない事件ですから。
羅?悪大星君が顕現する、などと言う異常事態は。
有希が俺の顔を見つめてから、微かに首肯いて魅せる。もっとも、この首肯きの意味は、良く判らないのですが。
ただ、何か……。決意に似た何かを秘めた強い気を以て首肯いた。そのような、感覚が発せられた事は間違い有りませんでしたが。
「我、陣の理を知り、大地に砦を画く」
口訣を唱え、導印を結ぶ。
そして、結界材に籠められて行く俺の霊力。流石に、水晶宮が用意した結界材。ここまで大きな霊力を注ぎ込むには、俺では貴石。つまり、かなり価値の高い宝石の類を準備する必要が有ったのですが、それは流石に勿体ないですから。
宝石には宝石に。貴金属には貴金属に相応しい使い方、と言う物が有ります。
刹那、ある一定以上の霊力が籠められた結界材から、ゆっくりと立ち昇り始める蒼白い光輝にも似た霊気。
そう。もしもこの瞬間、在る一定以上の見鬼の素質の有る人間が俺の行為を見ていた場合、ゆっくりと波紋を広げて行くかのように周囲にその領域を広げて行く俺の霊気と、その質を示す蒼白き輝きを目に出来たかも知れない。
そして、ある一定以上の霊気が籠められた瞬間、大きな霊気の柱にも似た光輝を一瞬発して、その後、結界材は元のただの少し大きめの石へと戻って居た。
「これで――――――」
振り返った俺が、これで、ひとつ目の結界石の配置が完了、そう、有希に対して伝えようとした刹那。
彼女。有希と視線を交わらせる事もなく、在らぬ方向に視線を彷徨わせる俺。
そして、眉根を寄せて、同じ方向に視線を向ける
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