第四十七話
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ったパアルは、当然ながら『まきびし』を踏みに踏みまくってダメージを受けてうずくまると、その隙をついて偵察隊のメンバー全員でパアルを取り囲んでいた。
「総員、一斉攻撃!」
シュミットの号令があるより以前に、まずはその良く動く自慢の両手足と、ついでに首と尻尾を突き刺して身動きを封じ込めつつ、扉を開けようとしているメンバー二名を除いた一斉攻撃がパアルを襲った。
いくら特製のハイレベルモンスターだろうと、両手足を攻撃しているメンバーのおかげで生半可にしか動くことは出来ず、生半可に動いてしまってはパアルの身体の下敷きになっている金属製の武器がさらに深々と刺さっていき、何分か後にようやくポリゴン片となって消滅した。
この作戦の元をシュミットに提案したのは一応自分だったが、足止めがメインだった俺の作戦をこんなにも早く敵モンスターをハメて倒す作戦に昇華出来る攻略組のプレイヤーは、やはり俺の想像を超えているのだった。
「……しかし、もう一回となると辛いな……扉はどうだ!?」
「……やはり、無理だ……なっ!?」
《鍵開け》を担当していた《聖竜連合》の団員の驚きの声と共に、今まで何をしても開かなかったボス部屋の扉が開かれた。
その団員の驚愕の声から察するに、扉が開かれたのは彼の《鍵開け》スキルのおかげではないということであり、開いた原因はそこにいた者には思い至った。
「コーバッツ中佐!」
延々と不死属性がついた扉に斧を打ちつけていた軍のメンバーが、中にいる筈のコーバッツの名を呼びながらボス部屋の中を見た。
そしてそこには何もおらず、更に言うと何者もいなかった。
「……撤退するぞ……」
シュミットの、喉からなんとか絞り出したような声の命令に誰も反対する者はおらず、全員無言で懐から《転移結晶》を取りだした。
「……ん?」
それは俺も例外ではなかったが、ボス部屋の中の入口の近くに、何か物が落ちていることに気が付いた。
コーバッツ率いる第一グループがボス部屋に突入した時にあんな物はなく、気になったために転移する前に、ボス部屋に入らないように気をつけてそれ――どうやら紙のようだ――を拾い上げた。
「これは……」
それは俺の見た通り何の変哲もない紙だったが、なにやら細々と文字が書き込まれていた。
俺も解らないことが解った時にはとりあえずメモをすることにしているが、そのことが今回功を労したようで、この紙に何が書いてあるかが解った。
……これは、今回このボス部屋にいたフロアボスの攻撃方法や特徴を、出来うる限りメモしておいた紙であった。
やはり先の第七十四層の時と同じくボス部屋は結晶無効化空間らしく、写真のように物体を記録する《記録結晶》は使えないようだったが、無
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