反転した世界にて6
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。これはつまり、この世界の価値観からして、そういうことなのだろう。
具体的には、女性八割に、男性二割くらいだろうか。
無論、ただそれだけだというのであれば、いちいち気にすることでもない。昨日一日、身を持ってこの世界の価値観の差は体験しているのだから。
眼が冴えているのは別の理由であると言える。
「(眼福……?)」
無防備、と表現すべきか。"目のやり場に困る"のに、目を瞑っているのはもったいない、そんな空間が当車両にて展開されている。
――例えば、あちらで吊革につかまって、スマホを弄っている女の人。黒のタンクトップにジーンズと、これ以上ないくらいにシンプルな出で立ちの美人さん。
電車がガタンと揺れるたびに、タンクトップから張り出す柔らかなナニカに振動が伝わって、ぶるるんと不思議な現象を引き起こしている。その現象は、球体からサラに張り出すポッチを基点として些細な振動でも反応して、繰り返し上下の反復運動を引き起こして僕の脳細胞を溶かしてゆくのだ。
それから、吊革に片手を預けている関係上、必然的に横から中身が覗けてしまう。白日の下にさらされている美しい腋にも注目したいところだけれど、それよりもオープンになっている横乳に視線が奪われてしまう。
大変なことだ。
「(目の保養……?)」
例えば、僕のほぼ対面の座席に座っている、大人しそうな眼鏡の女の子。あの制服は、確か僕の降りる駅から更に三つ先の駅近くにある高校の制服だったはず。
女の子は、携帯ゲーム機に熱中している様子だ。十字キーを人差し指で動かす、あの独自の指の動きを鑑みるに、多分、狩猟の最中であるに違いない。
それはどうでもいいとして、その女の子は、鞄を足元に置いている。こう、両足で挟むようにして、周りの人のスペースを邪魔しないよう、気を使っているのがわかる。
けれど、正面から淡い青色のパンツが丸見えなのだ。僕の後ろから、日の光が差し込んでいる関係もあるのかもしれない。薄い布越しにふっくらと盛りだすナニカが、パンツに一筋の幸せを作り出しているところまで、バッチリと観測できてしまう。
それだけならまだしも。女の子は時折、パンツの折り目をスカートの中に手を突っ込んで調整したりするものだからもう大変。目を背けずにいられようか、いや、いられない(反語)。
「(まずい……鼻血が……)」
鼻の奥がツンとしてくるのを感じて、とっさに手で口元を覆う。とりあえずは、噴出してしまうことはなさそうだけれど、このままではいつ流血沙汰になってもおかしくはない。
ほんに、価値観の違いとは、まっこと恐ろしい。
きっと、彼女たちは自分の何気なくもあられもない姿が、一人の馬鹿な男子を誘惑しているなどとは、夢にも思っていないに違いない。
「(おっ勃
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