§30 鬼の王と正道邪道
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。闘争に勝てばお主を葬った後に毒で死に、負ければお主に殺されるのだから。既にこの屋敷には儂以外住んでおらん。全員退避済みじゃ」
なんとまぁ、準備の良い事だ。しかも白装束ときた。
「元々儂が幽世に来たのは、身体を蝕む毒酒の影響を抑えるためだ。こちらならば多くの気を取り込めるから治癒も楽だしのう。だが、もう取り返しのつかないところまで儂の身体は壊れておる」
立ち上がるのも辛そうな顔色だが、その瞳は強く黎斗は制止出来なかった。
「このまま酒で朽ちるよりは、戦場で死ぬことこそ本望よ。人間共を滅ぼすのも悪くないとも思ったが、お前と闘ったあのひと時。あのひと時より愉しい時は今まで無かった。やはり、終幕はお前との死闘以外考えられぬ」
潔く、求めるものは正々堂々とした勝負。この局面で逃げることは出来なかった。
「死にゆく者の最期の願い、か。断るに断れねぇよなぁ、ホント」
もしこれが神便鬼毒酒でなければ、もしもっと早く事態を知っていれば。少名毘古那神の権能で調合する秘湯の湯で治癒出来たかもしれない。だが、全ては遅すぎた。今から治癒しようにも手遅れだ。神便鬼毒酒などと言った規格外の毒を解毒できるほど少名毘古那神の権能は特化されていない。
「まつろわぬ神として、坊主を迎える準備はとうに出来ていた。あとは陣で理性を保っていられる間にお前が来るか、半ば賭けだったのだが間に合って本当に良かった」
笑みを浮かべる酒呑童子。呪力が急激に膨れ上がっていく??!!
「理性を保てる陣は儂の先程の叫びで壊れた。悪いが死への手向け、付き合ってもらうぞ!!」
「美少女じゃなく鬼のおっさんだった、ってのがアレだけどさ。そこまで思ってもらっていたなら、応えないワケにはいかないよね。……真なる鬼の王よ、僭越ながら介錯仕るッ!!」
威勢よく啖呵を切って構える黎斗だが、すぐに目を疑う光景を目の当たりにしてしまった。
「……え?」
襲い来るのは有象無象、数多の鬼。視界を埋め尽くさんばかりの鬼の群れが、黎斗へ向けて殺到する。
「おいおいおい大将、一対一じゃなかったのかよ!?」
ヤマの時より大軍なのが手におえない。エルを肩にひたすら逃げつつ非難する黎斗に苦笑いをし、鬼の大将は口を開く。
「ったって、コイツらは茨城童子達とは違って儂の能力で生み出した輩だからなぁ。坊主も使い魔が居るのだ。これで手打ちとしようぞ」
「んな、滅茶苦茶な!?」
確かに以前は雲霞の如くだったけれども。前回と比べれば数は少ないし茨城童子達が居ない、と楽といえば非常に楽なのだが、それでも数が多くてやってられない。流石は鬼の首領と言うべきか。
「マスター。三号機の使用許可を
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