第二十五話 夜の難波その十三
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それでなのだ、景子もここで言うのだ。
「結婚したりしたら大変よ」
「そうなのね」
「まあそういうお話は置いておいて」
景子の方から話を変えてきた。
「串カツだけれど」
「これね」
「どんどん食べましょう」
言いながら実際にその串カツを食べる。
「美味しいしね」
「そうよね、本当にキャベツと一緒だと」
これもあればというのだ。
「胸焼けもしないし」
「ビールもう一丁」
美優が琴乃の横でビールを注文した。
「大ジョッキでさ」
「お姉さんよく飲むね」
「お酒好きでさ」
赤ら顔での言葉だ。
「だから飲むよ」
「そうだね、じゃあね」
おじさんも笑顔で応じて横にいるバイトの青年にこう言った。
「じゃあな」
「はい、ビールもう一丁ですね」
「大ジョッキ、いいな」
「一つですか」
「あっ、五つです」
「五つお願いします」
美優だけでなく他の四人も言った、そうしてだった。
おじさんも五人の言葉を受けてそうしてバイトの子にあらためて言った。
「五つだよ」
「わかりました」
「それじゃあ頼んだよ」
「はい」
バイトの青年は明るく応えた、おじさんは青年と話を聞いてから五人に顔を戻してそのうえでこう言ったのである。
「いい子でね」
「明るい人ですね」
「雰囲気も」
「和歌山から来たらしいんだよ」
蜜柑と梅が名産で海産ものにも恵まれている。
「それで大阪に来てうちに来てさ」
「このお店に来たんですか」
「入られたんですね」
「そうなんだ、面接に来た時にいいと思ってね」
それで採用したというのだ、こうした話をしてだった。
バイトの子が出すビールも見てそれでまた話した。
「串カツ屋やるにはビールも一緒だからさ」
「それでなんですね」
「ビールも入れてるんですね」
「美味い串カツに美味いビールは付きものだよ」
日本酒や焼酎もあるがこれもだというのだ。
「それでなんだよ」
「だからですか」
「お兄さんもビールを」
「そうさ、じゃあ楽しんでくれよ」
笑顔で話してそうしてだった。
おじさんは五人に串カツを揚げ続けた、そうして。
五人は串カツも心ゆくまで楽しんだ、酒も飲みそのうえで。
大阪から神戸に帰る電車に乗った、その電車の席に五人で並んで座ってだった。
美優が真ん中の場所から四人に言った。
「最高だったな」
「うん、そうね」
「難波はね」
「ああ、美味しかったよ」
こう言ったのだった。
「本当にさ。いい旅行だったな」
「旅行になるの?」
「日帰り旅行だろ」
美優はいぶかしむ琴乃に話した。
「今日のこれは」
「それになるのね」
「ああ、なるだろ」
「じゃあ私達五人ではじめて旅行したのね」
琴乃は美優の話を
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