第九話 幼児期H
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そっとしておいたほうがいいんじゃね? いや、胃薬ぐらいあげるべきか?
『いえ、ますたー。どうやら人ではないみたいです。反応からして動物ですね』
「動物? あ、母さん」
「2人とも離れていてね」
母さんが草むらをかき分け、中へと入っていく。少しして、母さんが抱きかかえながら運んできたものに驚いた。妹がそれを見ながら、ねっ、くいだおれてたでしょ! と自信ありげに言っていた。
「いや、アリシアさん。それを言うなら、いきだおれていただ。おしいッ!」
「あ、まちがえちゃった」
『のんきに会話されますねー』
しかし、行き倒れている表現も合っているのか? 母さんが腕に抱えてきた動物に、俺たちは興味津津に覗きこむ。とりあえず休憩所まで移動し、様子をみることになった。
なんでも妹が休憩所の近くで遊んでいたら、鳴き声が聞こえてきたらしく、それで見つけたみたいだ。アリシアはその動物を見つけ、母さんと俺を呼びに来たらしい。今はベンチの上で静かに横になっている。胸が小さく動いているから、生きてはいるみたい。よかった。
しかし、まさかここで登場するとは。たぶん本人? だと思うけど。母さんとアリシア以外の原作のお方。俺が原作知識でテンションが上がったお方。まさにもふもふだ! 肉きゅうぷにぷにだ!
ねこだ! もふもふだ! にゃんこだぁーー!!
「ねこさんどうしたのー?」
「やべぇ、もふもふだ! ぬこだ。やまぬこだ。いや、この場合こやまぬこ?」
「えっと、こねこだから、こやまねこじゃないかしら」
『とりあえず外傷はないようですが、衰弱しているみたいですね。意識もありません。親はどうしたのでしょう? 近くに反応はないみたいですが…』
「ねーこー?」
「母さん、ねこはぬことも呼ばれてるんだよ。ぬこぬこ。あ、この子メスだ。ほらついてない」
「そうなの? ぬこぬこ。あら、ほんとメスみたいね」
『聞けよ、天然ども』
******
「本当によかったのか、アリシア」
「うん、だってねこさん心配だったもん」
そっか、妹が納得しているならそれでいいか。猫を拾って、それからどうするかを話し合った。このまま自然に帰すにしても子猫だし、親も見つからない。そんな状態でまた山に帰しても、生きていくのは難しいだろう。
なら、俺たちに出来るのは実質2つだけだ。拾うか、見捨てるか。まぁこの選択に関しては、そこまで困らなかった。妹は猫を気に入っているようだし、俺はもちろん賛成。母さんも最初は困った顔をしていたけど、了承してくれた。
見つけて、拾ったのは俺たちだ。頭を下げて2人でお願いした。俺たち2人の5歳の誕生日プレゼント。新しい家族が今日できることになった。
「えへへ」
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