第九話 幼児期H
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っていくのを感じる。嘆くよりも純粋に感じる思い。
俺は……かなりムカついていた。
「コーラル。俺さ、喧嘩とかも嫌いだし、悪いことだってしたくない」
『……はい』
「盗撮が犯罪なのはわかっているし、誰かを陥れる、不幸にすることがどんな理由があってもやっちゃいけないことだろうってわかってはいる」
でも、母さんが泣いていた。これ以上泣かせたくなかった。笑顔でいてほしいと思った。
けれどそれを邪魔するやつらがいる。なら簡単だ。そんなやつら、ぶっとばせばいいじゃん。
「ここまで俺たち家族に喧嘩を売ってくるのなら…買ってもいいよな? 俺たち家族を潰しに来るのなら、遠慮していたり、保険なんて後手にまわってちゃ手遅れになるかもしれないよな」
『……相手は組織ですよ?』
「真正面からぶつかるつもりなんてない。俺に足りないものなんていっぱいあるけど、だったら余所から持ってくるだけだ」
俺に出来ることなんて少ないさ。でも、少ないだけで何も出来ない訳じゃない。出来ることを少しずつでもやっていけば、新しい道が見えるかもしれない。俺なりのやり方でぶっとばせばいい。なら、やるだけの価値はきっとある。
『ますたー、僕からも1ついいでしょうか』
「無茶だって?」
『まさか』
『ますたー1人じゃ心配ですからね。やるなら徹底的にやっちゃいましょう。僕はますたーのデバイスで家族なのですから』
状況や未来は理不尽だと思うけれど、同時に本当に俺は恵まれているなと心から思う。
「いいのかよ、何させるかわかんねぇぞ」
『ますたーが変なことするのはいつものことじゃないですか。僕のますたーはこんなんですからね。デバイスの僕がしっかりやってあげないと』
「こんなん言うな」
いつも通りのやり取りに苦笑する。よっしゃ、それじゃあ早速手を打っていくぞ。あいつらにぎゃふんぎょふん言わせてやる!
「お兄ちゃん、大変だよ!!」
妹の突然の呼びかけに驚く。かなり切羽詰まっていることを声から感じ取り、俺は転移を使ってアリシアのもとへとんだ。
「どうしたんだ!?」
俺が来たことに気付き、妹はあわあわしながら俺を引っ張っていく。そこは休憩所から少し離れた場所で、木々が犇めいている。母さんがその近くで、どこか困ったような顔で草むらに目を向けていた。
「お兄ちゃん、あそこの草むらで…」
「草むら?」
俺は訝しげにアリシアが指差す先を見る。俺はアリシアの前に出ながら、様子をうかがった。母さんの近くまで近づくが、草陰で正体まではわからない。なので、率直に聞くことにした。
「何があったんだ」
「くいだおれていた」
「……ワンモアプリーズ」
「くいだおれていた」
じゃあ、
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