第九話 幼児期H
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「エンカウントぐらいしろよ! はぐメタよりひでぇ!!」
『ますたー、仕方ないですよ。野生動物は警戒心が強いですから』
「お母さん。私、動物さんに嫌われちゃったのかな」
「そんなことないわ。きっとみんな恥ずかしがり屋さんなのよ」
妹が肩を落とし、落ち込んでいる。このままではかわいい妹のせっかくの誕生日に、暗い影を落としてしまう。それはゆゆしき事態だ。
俺は母さんの方に目を向ける。母さんも俺と目を合わせ、お互いにうなずいた。すべてはアリシアの笑顔のために。
「コーラル、次の獲物は」
『南西200メートル先に……ってあのますたー。なんで僕を握っているのですか』
「決まってるだろ、お願いしに行くんだ」
俺はにっこりとほほ笑んだ。アリシアは動物が大好きだから傷つける訳にはいかない。母さんのバインドで捕まえるのもかわいそうと思われるかもしれない。なら、大人しくしてくれるようにお願いするしかないだろう?
そして転移で、獲物のとまっている木の近くまで瞬間移動した。俺の存在に驚いた野鳥はすぐさま飛び立とうとする。あはは、逃がすかコラ。
「脳天ぶちまけろやぁーー!!」
『え、えぇええぇぇーー!?』
まさに飛び立とうとした瞬間、俺は手に握っていたコーラルを勢いよくブン投げた。野鳥の羽にかする。何枚か羽が衝撃で抜け、野鳥ビビる。固まる。それでも必死に逃げようとする野鳥の眼前に。
雷ドゴーン。
焼き鳥一歩手前の事態に野鳥今度こそ硬直。彼の頭上には未だ暗雲が立ち込めている。一瞬、俺に視線を寄こした鳥さんに俺はにっこりと笑い返す。野生として生きる1匹の野鳥は本能で理解した。
あ、動けば終わると。
「ほら、アリシア見てみろ。鳥さんがいるぞ」
「わぁ、鳥さんだ! 鳥さーん!」
「よかったわね。鳥さんもきっと会えてうれしいと思っているわ」
「そうかな。けど、さっきのピカッって光ったのなんだったのかな」
「うーん、なんだろ。もしかしたらここにいるよって山の妖精さんが教えてくれたのかもな」
「すごーい!」
******
「運命とは自らが切り開くものである」
『物理的すぎるでしょ』
この世は弱肉強食。今晩のご飯は焼肉定食。
「それにしてもさすがは、母さん。デバイスも詠唱もなしに遠距離からの精密射撃。公式チート乙」
『公式ってなんですか。まぁあのくらいでしたら、確かにマイスターには雑作もないことでしょうけど』
母さんレベル高すぎだろ。さすがはラスボスの一角。
「世界的に見ても母さんってやっぱりすごいのか?」
『すごいですよ。魔導師ランクSというのは伊達ではありません。さらに条件付きでしたら、SSランクの実力もお持
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