Episode 3 デリバリー始めました
スイートは爆発だ!
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麦に含まれるアミラーゼって物質がデンプンを分解している音だな」
「何……だと…… さっぱりわからんニャー」
「まぁ、最初から期待はしていない」
頭を抱えるテリアを薄笑いしながら見ていたキシリアだったが、次の瞬間、その顔に緊張が走る。
「ど、どうしたニャ!?」
テリアそう問いかけた瞬間、鍋の中がすさまじい勢いで泡を吹き出し始めた。
「ま、不味い……爆発するかも!」
使用した酵素が極端に元気だと、本来は時間をかけて行われる発酵が急速に進み、容器を破損することがある。
通常の酵素ならばそれでも被害の規模もたかが知れているが、今回は理力の力で威力強化した特別製である。
何が起きるか判らない。
そして今こそ真実を告げよう。
錬金術師たちがなぜこの術を多用しないか?
その理由はただ一つ。
じつはこの術……制御に失敗すると、なぜか大爆発を起こすことが多いのだ。
「や、やべぇ釜の温度と圧力が下がらない! なにぃ!? まだ上昇するだと! すげぇ! これだけの環境でまだ酵素が死んでないのか!?」
「なにのんきに分析してるニャ!」
「黙ってろ、馬鹿猫! 今俺はものすごく興奮してい……つか、おおおお、マジやべぇ! 伏せろ!!」
そう告げるなり、キシリアは近くのテーブルを釜に向けて倒し、理力で強化して強靭な盾に変え、その後ろに素早く隠れる。
「ニャァァァァァ! キシリアの馬鹿ぁぁぁぁぁぁ!!」
「うるせぇ、口閉じろ! 舌噛むぞ!!」
泣き叫ぶテリアの頭を掴み、テーブルの影に押し込んだ次の瞬間……
都市国家ビェンスノゥの郊外で、激しい爆発音が響き渡った。
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「うーん。 アミラーゼを強化してもこんな爆発するはずはないんだけどなぁ。 力を帯びすぎて別のものに進化した……か?」
濛々と埃の立ちこめるアトリエに、少女の声が響き渡る。
その隣では、灰色の毛並みの猫が気絶したままウンウンとうなされていた。
「ケ、ケホッ、ケホッ。 あー 埃がひどいな。 とりあえず次はもっと理力を抑えねぇとなぁ。 ま、次はこの教訓を活かせばいいさ。 爆発は成功の母ってやつだ」
「……一人で納得するなだニャ。 あとそんな格言は聞いたことが無いニャ……」
濛々と埃の舞い上がる室内で嬉々として今の現象を分析しはじめたキシリアを、いつのまにか意識を取り戻したテリアがジト目で睨みつける。
その視線を口笛を吹きつつ無視すると、キシリアは突然目を見開いた。
「おおっ! 喜べテリア! イトウの生成には成功したようだぞ。 ほら、口で息を吸ってみろ」
「口で息すって何が変わるというニャ……ニャ!? 口の中が甘い! つーか、空気が甘
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