第179話
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するのが気に喰わないのだろう。
真正面から対立して波風を立てるのも好ましくない。
五和は『天草式』という言葉を使っても、『イギリス清教』という言葉は使わなかった。
傘下にいる天草式を使ってC文書の妨害に入り、仮に天草式が失敗した場合は『小宗派が暴走しただけで、イギリス清教の全体の意向とは関係がない』と言い張るつもりだ。
もちろん、それを『天草式』が分かっていないはずがない。
利用されていても、彼らには彼らの信念がある。
救われない者に救いを。
それが天草式が持つ揺るがない信念だ。
「まぁ、五和達と一緒にいる分にはいいだろ。
仮説はあるが、調査を進めていけば分かるだろうしな。」
「だな。
俺達に何か手伝える事はあるか?」
「は、はい、それなら・・・・」
二人の協力の申請に戸惑いながらも、上条の問いかけに答えようとした。
しかし、彼女の答えを聞く事はなかった。
ドバン!!という轟音と共に。
いきなり道路に面したウィンドウが一斉に砕け散ったからだ。
石を投げた訳でもなく、バットや鉄パイプで殴ったのとも違う。
手だ。
何十何百もの人の手が一斉にガラスを押し、その圧力によってガラスが内側に砕け散ったのだ。
店内にいくつもの悲鳴が聞こえたが、それすらも押し潰すように大量の人の渦が店内へ殺到した。
まるでゾンビ映画の恐怖シーンのようだ。
明らかに異常な事態だが、上条はすぐに原因を知った。
「暴動か!?」
「いいから走れ!!」
「こっ、こっちです!!」
足元の荷物を手に取った五和は、もう片方の手で上条の腕を掴むと急いで走り出す。
麻生もテーブルを飛び越え、走る。
行き先は正面の出口ではなく、非常口だ。
その間にも何百人という大人数が一斉に店内に入り、あっという間に満員電車のような身動きの取れない空間へ変貌する。
後ろから敵意と殺意が籠ったフランス語が聞こえる。
「ちっ、完全に嫌われているな。」
フランス語が分かる麻生は舌打ちをする。
いくつもの手が麻生達の背中を追いかける。
その手に追いつかれる直前で、上条は鉄のドアを開け放ち、そこから転がるように外へ出る。
最後に出た麻生は、躊躇わず能力を発動して鉄のドアを閉め、外側から鍵をかける。
店内には小さな子供や女性もいた。
いくつもの悲鳴が重なって聞える。
「恭介!
戻るぞ、中には子供とかが!」
「馬鹿かお前は。
今開ければ、面倒な事になるぞ。」
「お前の能力があれば何とかできるだろ!
だとしても、俺は」
扉に手をかけようと手を伸ばす上条の腕を麻生は掴み、そのまま逆の腕で胸ぐらを掴んで近くの壁に背中を押し付ける。
「ッ!?
何を」
しやがる、と言おうとして麻生
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