第179話
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伝いをするだけでもC文書の破壊に近づくと思うぞ。」
店員からナプキンを人数分貰うようにフランス語で話す。
持ってきたナプキンで手を拭いて、サンドイッチを食べるのだが何故か五和は肩が下がって、どんよりとした雰囲気を出していたが理由は二人には分からない。
気をきかす意味と、さっきのリベンジという意味を込めて、バッグの中からおしぼりを取り出そうとしたがそれよりも早く麻生が、店員にナプキンを頼んだのでおしぼりはバッグの奥底に眠る事になったのだ。
「気になっていたんだけどさ。
どうしてC文書はバチカンじゃなくてフランスにあるんだ?
飛行機の中でC文書はバチカンでしか使えないみたいな話を聞いたんだが。」
「ああ、その説明をまだしていなかったな。」
少し説明が面倒と感じたのか、呑気に欠伸をしながらも麻生は説明を始めた。
「当麻、教皇庁宮殿という建物を知っているか?
知っている訳ないよな、分かっているわざわざ口に出す必要はないぞ。」
確かに知らないのだが、こんな風に皮肉っぽく言われると腹が立つ。
眉をひそめて、反論の一つでも言おうとしたがぐっ、と喉元で押し留める。
今は時間がない。
言い返して時間を無駄にするわけにもいかないので、上条は耐える事にする。
「一三世紀末に、ローマ正教の教皇とフランス国王の間でいさかいがあってな。
結果、勝利したのはフランス国王で、当時はローマ教皇に色々と指示を出す権利を得たんだ。
その中の一つに『本拠地から出てフランスに来い』というのがあった。
これをアビニョン捕囚という。」
何だか歴史の授業を受けている感覚に陥る上条。
それほどまでに何故かは知らないが、麻生の声はすっと耳に入る。
「本拠地って、バチカンか?」
「いえ、当時はローマ教皇領と呼ばれていた筈です。」
「その通り。
フランス側はローマ教皇を手中に収める事で、ローマ教皇が持っていた様々な特権や恩恵を自分達の都合の良いように利用したかった。
だが、戦いに負けてもローマ教皇には絶大な影響力がある。
好き勝手に外に出歩かれたら、自分達の立場が危うくなるのを恐れたフランス国王は、このアビニョンを幽閉場所に選んだ。
故に幽閉した宮殿の名前は『教皇庁宮殿』と呼ばれる事になった。
六八年間、数代に渡ってローマ教皇を縛り続けた。」
ふう、と一息吐き、五和が頼んだ野菜スティックを口に運ぶ。
「それとC文書に何の関係が?」
「話はまだ終わっていない。」
二口で一本を食べ、説明を再開する。
「幽閉されているから、ローマ教皇は仕事はしなくていい・・・なんて甘い話はなかった。
むしろ、ローマ教皇でしかできない仕事が結構あった。
しかし、それらの仕事をこな
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