第179話
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「ぶっ!!」
かなり危ういカタカナ語で話した上条の声を聞いて、隣にいた麻生は堪らず笑い噴き出した。
珍しくくつくつ、と笑うその顔は明らかに馬鹿にしたような笑み。
それを横目に確認した上条だが、どうやら通じたらしくコクン、と頷いた。
通じた事に感動を覚えたが、『じゃあ料金は七ユーロ』みたいなニュアンスの外国語を放ってきた。
上条はそこで狼狽えた。
円じゃ駄目なのだ。
「どっ、どうしよう!!」
途方に暮れる上条に、逸話がユーロ紙幣を取り出して渡す。
後で返そう、と思いながら紙幣を受け取り支払い、近くの空いているテーブルに座る。
すると、麻生はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべてこちらを見ている。
おそらくさっき自分が言った危ういカタカナ語とは違い、完璧な英語を話して嫌味の一つでも言ってくるのだと思ったが。
「伊勢海老のサンドイッチと水を。」
英語ではなく日本語で注文した。
店員は再びコクンと頷き、オーダーを受け付けるのを見て思わず叫んだ。
「ええー日本語!?
日本語で大丈夫だったの!?」
よくよく観察してみると、制服の肩の辺りに国旗に模した小さなバッジがいっぱいくっついている。
あれは『この国の言葉なら大丈夫ですよ』サインだ。
注文の品を受け取って上条の隣に座った麻生は。
「コーヒーアンドサンドウィッチ、プリーズ・・・・最高だな、お前。」
敢えてぎこちなくその台詞を言う麻生の顔は実に嬉しそうだった。
性格の悪いさに辟易し、友人の前で恥ずかしい発言をして頭を抱える。
五和も商品が乗ったトレイを持って、テーブルに着く。
トレイをテーブルの上に置いて、次に肩に引っ掛けたバッグを自分の足元へ置いた。
その途端、バッグの中からゴトリという重たい金属音が聞こえた。
気になった上条が五和に聞くと、恥ずかしそうに顔を赤くして顔の前でパタパタと手を振る。
武器が入っているのだと、五和は小声で答えた。
何でも柄の部分を五つに分け、使用時には接続部で固定して一本の槍になるらしい。
『関節』を用意すると強度が落ちるのが難点らしい。
言われて、キオッジアでもデカイ槍を振り回していたのを思い出す。
「それより、その、ツチミカドさんとは連絡がついたんですか?」
「俺達の方からかけてもあいつは出ないと思うぞ。」
水を飲みながら麻生が答える。
「降りてくる際に、何かあったら連絡すると言っていたからな。
土御門自身にもやる事があるだろうし、それが一段落するまで連絡がこないだろ。」
「やる事って?」
「それは本人に聞け。
俺が勝手に予想しているだけだ。
ともかく、出来る事をやっていけばいいさ。
幸い、五和もいる。
目的は一緒なんだ、天草式の手
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