第四十一話 どんな人だったのか……それよりもメイム、覚えとけよ!
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世界から来たことを、初めて会ったクィルに暴露している。
闘悟は二百年前の異世界人が、間違いなく日本人だということを知った。
そして、本の中にはもちろんその人物の名前も載っていた。
『ミサキ』……それがその人物の名前。
どうやら、女性だったようだ。
本にも代名詞が『彼女』になっている。
また彼女は名字を名乗ってもいなかったのか、その記述は見当たらなかった。
いや、もしかしたら名字が『ミサキ』なのかもしれない。
どうでもいい話だが、どうせならもっと判断し易い名前だったら助かった。
その『ミサキ』がこの『ネオアス』に来て、ある伝説を残している。
それはこの世界を見て回った彼女が、ある魔物と戦い、命を落とした話だ。
これが本当のことかは分からない。
だが、自分と同じ日本人が『ネオアス』に来ていたのは事実だった。
会って見たかったなぁ……。
闘悟はその話を頭の中で反芻(はんすう)する。
そして、ふと窓の外が夕焼けに包まれていることを知る。
「あ、やっべ! あんまり遅くなるとクィルに怒られる!」
慌てて本を元の所へ戻し、ヒナを探した。
ヒナは図書館に設置されてある椅子に腰かけていた。
手には一冊の本を持って、熱心に目を通している。
声を掛けにくかったが、さすがにこれ以上時間を掛けると暗くなってしまうので、仕方無いと感じ声を掛ける。
「……終わった……の?」
ヒナは闘悟の声に反応し首を傾げる。
「ああ、ヒナのお蔭でいい勉強になったよ。ありがとな」
「それなら……良かった……よ」
「それ、何読んでんだ?」
「これは……はい」
そう言って表紙を見せてくれた。
だが、そこに書かれた題名を見て顔を引き攣(つ)らせる。
「……『俺の恋が修羅場(しゅらば)ってる!』……?」
え? 何この本?
何かのライトノベルかよ!
闘悟はタイトルを見て硬直する。
「そ、それって……面白いのか?」
「ん……よく……わからない……よ?」
だったら何で読むんだ?
そもそも十歳が読むような本なのかそれ?
だが、いきなり拒否するのもどうかと思ったのでやんわり聞いてみる。
「分からないのに読むのか? 勉強熱心なんだな」
「恋が……知りたい……の」
「は?」
こい?
鯉……なわけないか。
もしかして、恋のことか?
「な、何で?」
「トーゴが……言った……よ?」
「んん?」
オレが何言ったって?
何か変なこと言ったかなオレ?
「恋仲は……恋を……知らなければ……だめ」
お〜の〜!
オレってばバカ!
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