第九十三話 ヴィンドボナ炎上
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きます。カトレア様、お止め下さい。怪我人の中にカトレア様に危害を加えるものが居ないとも限らないのですよ?」
「大丈夫ですよ。いざという時はミシェルが守ってくれるんでしょ?」
カトレアはニッコリ笑ってミシェルを見た。
ミシェルもカトレアにこういう顔をされると逆らえない。
「……分かりました。不届きな輩が現れてもカトレア様には指一本触れさせません!」
「ありがとうミシェル。でもその前に、この商家の持ち主の人に挨拶をしないと」
「畏まりました。直ちに案内いたします」
カトレアは、ミシェルの後について部屋を出ると小走りで下の階に降りていった。
★
一方、モンスター討伐に出発したマクシミリアンは、『ウォーター・ビット』を四方に飛ばし情報収集に取り掛かった。
折りしも、ヴィンドボナに各市街地ではモンスターが暴れた影響で火事が起きていて、深夜のヴィンドボナを朱に染めていた。
「……これは、モンスター退治と平行して消火活動もしなければならないな。誰か、ここに残って市民を統率して消火活動を行って欲しい」
マクシミリアンは帝国貴族に提案したが余り歓迎された様子ではない。
かつてのトリステイン貴族ほどでは無いにしろ、貴族は戦闘による武勲こそが最上の名誉と考えている節がある。
残って消火活動を指揮したら、他のライバルに抜け駆けを許してしまう。
帝国貴族達はお互いの目を見て、互いに牽制し合った。
「……何をやってるんだ。この忙しいときに」
マクシミリアンは呆れてしまい、一喝しようと空気を肺に送り込むと、思わぬところで声が掛かった。
「マクシミリアン陛下ではございませんか?」
「ん?」
マクシミリアンが声の方へ向くと、そこにはオルレアン公シャルルが部下の貴族を数人連れてマクシミリアンの方へ手を振っていた。
「オルレアン公! どうしてここに?」
「どうしてもこうしてもありません。晩餐会の帰路、突然のモンスターの襲撃を撃退しながらここまでやって来たのです。マクシミリアン陛下は?」
「僕も同じようなもので、早急にモンスターを討伐して治安を回復しないとと思いましてね。護衛の彼らを連れて、オルレアン公に出くわしたのです」
そう言って、マクシミリアンはお互いいがみ合う貴族達を見た。
「なるほど、お互い目的は同じという訳ですね。如何でしょう、共同戦線を組むのは?」
「二つ返事で引き受けたいところですが、同時にヴィンドボナ市の火事の消火もしなければなりません」
シャルルは少し考える仕草をすると、マクシミリアンにある提案をしてきた。
「では我らが消火活動の指揮を取ります。マクシミリアン陛下はモンスター討
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