第九十三話 ヴィンドボナ炎上
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突如襲ってきたモンスター群を撃退して数十分後、気を失ったカトレアが目を覚ました。
「う、ううん」
「カトレア様、お気付きになられましたか」
カトレアの目に真っ先に入ってきたのはメイドコンビのフランカで、その後ろでベティがホッと胸を撫で下ろしたような表情をしていた。
カトレアが身を起こし辺りを見渡すと割と豪華な部屋に寝かされていて、フランカの説明ではカトレアを休ませる為に裕福な商家に部屋を借りたそうだ。
「ネル様、カトレア様がお目覚めになられましたぁ〜!」
ベティが窓を開けてミシェルの名を呼ぶと、外で瓦礫の撤去作業を手伝っていたミシェルが作業を止め、カトレアの下へ走ってやって来た。
「ご無事でしたかカトレア様」
「一体何があったの? 突然馬車が横に倒れたかと思ったら、それから後の記憶がないの」
「それが、原因は不明ですが、街中でモンスターの群れが現れ、カトレア様の乗った馬車を襲ったのです」
「まあ、なんて事……」
カトレアは表情を曇らせて、ミシェルの次の言葉を待った。
「ですが、陛下のお力もあり撃退に成功。現在周辺の商家や宿屋に部屋提供して貰い、陛下御自ら生成された秘薬で怪我人はみんな快方に向かっております」
ベッドから降りたカトレアは外の景色を見ようと窓までゆっくり歩いた。
そしてカトレアの目に映ったのは、破壊された家屋とベッドの空きが無く、石畳の道路に怪我人が寝かされた野戦病院さながら光景であった。
その光景を恐ろしく思いながらも、カトレアは夫の姿を求めたが何処にも居ない。
「マクシミリアンさまは?」
「陛下は護衛の帝国貴族と共に、モンスターたちの掃討に向かわれました」
カトレアの問いにミシェルが答えた。
更にミシェルは続ける。
「国賓であらせられる陛下が行かなくても良いと、ペリゴール卿以下、大勢の方々に反対されたのですか聞き入れられず……」
「そうですか。マクシミリアンさま『らしい』と言えば『らしい』ですね。それと、この区画を守護する方々は?」
「人間の護衛は私にベティとフランカだけです。セバスチャン殿は陛下に付いて行ってしまいました」
「『人間』の? どういう意味ですか?」
「カトレア様のフレールが、この商家の屋根に止まり『睨み』を利かせているんですよ。お陰でモンスターのモの字もありません」
「そう良かったわ。あとで褒めてあげなくちゃ」
「そうしてあげて下さい」
「わたしも怪我をした人の治療を手伝いましょう」
カトレアの提案にミシェルは内心ため息を付いた。そうなる事を予想していたし、なにより説得しても無駄だと思ったからだ。
「止めても無駄だと思いますが、念のために言ってお
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