第七章 タヌキ娘の知略
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「ぐぉおおお」
「ひっ」
それは叫びであった。
それは嘆きであった。
それは猛りであった。
血の涙を流す人物は咆哮する。
「おぉおおお! なんでや! 既になのはちゃんには先を越され! フェイトちゃんまでに遅れを取った! 私は悔しい!」
「は、はやてちゃん……」
「……」
「はやて……」
「落ち着くですー」
八神はやての豹変に、シャマル、シグナム、ヴィータ、リインはそれぞれの反応を見せた。
シャマルは取り乱す八神はやてに動揺し、シグナムは黙り、ヴィータは同情し、リインは宥《なだ》めた。
その中でシグナムは恐れていた。
まずい、まずいで御座る!
ここに来て、ミウラ・ケイタとの関係を黙っていたことを後悔した。
今更言えるわけがない。
リインは知っているはずなのに今まで主であるはやてに伝えていないらしい。
それは、リインが思った以上に腹黒だからだろうか?
それとも別の理由があるのだろうか?
分からないまま、はやての絶叫を聞いていた。
●
リインは熟考する。
シグナムの功績を使う札と考えてどうやれば自分にチャンスが回ってくるかを複数思考で考えた。
人間化すればおおよそヴィータと同じ位の容姿になる。
しかし、ミウラ・ケイタがその容姿に反応するかしないかが問題であり、ヴィータが結ばれなければ自身もまた、結ばれないと考えたのだ。
よって、リインはヴィータが結ばれるまではシグナムの功績を黙っておく事にしたのだ。
また、先んじてシグナムとの関係を八神はやてにバラされたくなければ私を抱けと脅迫しても良いのだ。
シグナム以外で次にチャンスがあるのは自分自身だと確固たるモノがあり、八神はやての動揺の様も滑稽に見えてしまうのは余裕があるからだろうと言える。
実の所、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンの行動も伝えなくても良かったのだが、彼女が彼の部屋に入るのを一般局員が目撃しており、その局員は仕事の打ち合わせか今後の仕事の話だろうと思っていたようだが、リインはこの局員からいずれ漏れる事を懸念して、早めに手を打ったのだ。
それが、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンとミウラ・ケイタの関係を八神はやてに明かすことであった。
八神はやての階級は二等陸佐である。
よって、その権限からアクセスすれば二人のスケジュールが改変できるのである。
昨日の二人は部屋で今後の機動六課について朝まで仕事という事になっている。
そのスケジュールは一般局員でもその気があれば確かめられるため隠蔽工作は完璧である。
あまり、無理のない変更でよかったですー。
●
八神はやては一通り感情をさらけ出したことによって落ち着きを取り戻していた。
そして、天啓が降りる。
本日の仕事、機動六課の部隊長庁舎視察。
それは
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