ALO編
episode4 魔法の世界の洗礼2
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そして伝わったシステムメッセージは、その相手が前触れなく俺に決闘を挑んできた合図に他ならなかった。
◆
彼女の見た目を一言で表すなら、「大人の女」と呼ぶのが最も相応しいだろう。背丈は(本人は認めたがらないだろうが)小柄なシドのアバターよりも十五センチは高い。硬質な輝きを持ったショートカットの上にいかにも魔法使い然とした三角帽子を被り、メリハリの効いた体ををセンスの良い模様の入ったローブで包んでいる。手には両端に黄色と青の水晶の嵌ったステッキ。
誰が見ても一見して分かる、純魔法戦闘型の装備。
そして、その種族は。
「鍛冶妖精、か……」
シドが呟く。
特徴的な金属光沢のをもつその髪は、音楽妖精と同じく非戦闘系の種族であるそれのものに他ならない。帽子のつばの下から覗く目は随分と細く、そのせいで思考や感情はおろか瞳の色を判別することさえ出来ない。
と、彼女の左手が素早く動いた。同時に表示される、シドにとっては初めてみるウィンドウ。見たところそれはどうやら彼女の持つ特殊なアイテムの効果らしく、右手首の腕輪から広がった画面が周囲のプレイヤーに見えるようにそのウィンドウを広げる。
書かれているのは、
『貴方はこのまま他種族領へ行けば、死にます。魔法やこの世界の仕組みについて、貴方は知らな過ぎます。どうやらそれすらわかっていないようなので、今回は身を以てそれを学んで頂く所存です』
「……随分と言ってくれやがるなオイ」
分かりやすい挑発だった。
このフルダイブ環境でタイピング会話というアナログなプレイングを、シドが鼻で笑い。
『あの世界との違いを、貴方は理解すべきです』
続けて表示された文字に、その笑みが固まった。
◆
あの世界。
こいつは、知っている。俺の、正体を。
反射的に、俺は決闘の申請を受けていた。
俺のリアル……いや、SAOでの情報が割れている以上、ここでむやみに逆らうのは得策ではない。こちらの素性が知られており、相手の素性が分からないこの状況では、簡単に相手の機嫌を損ねるような迂闊な行動はとれない。
ならば。
(……最善は、相手の正体を探ること、か)
相手の意志に従い或いは、従う振りをし……つつ、相手を特定する。
その手段は、困難ではあるが、なくはない。
実際に戦闘して拳を交えてみるのが、今できるその手段の一つ。相手があの世界のシドを知っている……つまりは俺と同じ『SAO生還者』であるならば、その戦闘スタイルから何か分かるかもしれない。
そして、そんな打算のほかに、もう一つ。
あ
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