暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
ALO編
episode4 魔法の世界の洗礼
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 『体術』、『軽業』複合スキル、《ムーンサルト・フライ》……と、かつて呼ばれていた、片足で対象を踏みつけからのバク宙。一気に距離を稼ぎ、同時に繰り出されていた敵後衛の魔法使い(メイジ)の魔法を回避する。敵さん、俺が空中ではろくに動けないと踏んで追尾系(ホーミング)の魔法を使っていなかった。まだまだ甘く見られている。

 いや、甘く見て()()()()()、か。

 「逃がすなっ、追え!」
 「まずは束縛魔法を、」
 「だめだ、距離外だっ!」
 「ああ、もう! また逃げられてんじゃん!」

 残念。

 既に地面に辿り着いた俺は、猛烈なダッシュを再開する。ものの数十秒で岩場地帯を抜け、辿り着くのは枯れ木地帯。ノーム領寄りの針葉樹林に比べれば幹は細くてひ弱だが、『軽業』の足場には十分だし、飛行の妨げとしても十分だ。

 相手もそれをこの数日で学んだ……というか、体に教えてやったので、追っては来ない。
 今日も、俺の勝ちだ。

 「ふぅ……」

 一息ついて、中立の村……俺が今日滞在し、NPCから聞きこみをしてクエストを受けた場所へと向かって駆け出す。洞窟でこなしてきた今日のクエスト、その報酬だと説明された、「面白いマント」とやらに思いを馳せながら。


 ◆


 ここ数日は、ずっとこんな日々が続いていた。つまりは、プーカ領内のダンジョンを片端から踏破、攻略して、その過程で件の戦闘ギルドである『空飛ぶ狩人(フライング・ハンターズ)』達との激戦を繰り広げる日々。最初こそ無策に突っ込んできたバカだったものの、ぼちぼち慣れてきたのか対策が練られはじめ、それに合わせて俺も戦闘を殲滅から逃走へと変えて。

 それもいつまで続くかというところではあった。俺自身は某二刀流使いの『勇者』様のように超絶な戦闘狂ではないのだ、相手が本当に本気になって対策の上で戦えば当然俺に勝ち目はない以上、いつかは逃げることも覚束なくなる。だが、ありがたいことに今日でプーカ領内の個人で攻略できる主要なダンジョン、クエストは探索し終わった。これでいざ領外、連中ともおさらばだ。

 「さーて、今日の戦利品は、いかがかね……」

 追っ手を振り切ったところで速度を落とし、今日のクエスト品、「珍しいマント」に思いを馳せる。仕事のためにログインしている俺だが、この辺りに少なくない高揚感を覚えるのはやはりゲーマーの性というやつだろう。

 まあ、時間はゆっくりある。のんびりと効果の参照と今日のクエストレポート、とった映像写真(スクリーンショット)を確認して、それから明日からの旅支度でもするか。そこには、なんら問題はなく、万事順調と言えた。

 そう、万事順調だった、のに。
 そんなもんはいつだって、唐
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