ALO編
episode4 魔法の世界の洗礼
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の目に染みるが、燈赤色に岩場地帯を光らせるその斜光は、俺の同色の髪をいくらかは目立たなくしてくれる。理想を言えば完全に紛れられる夜の闇が最善だが、まあ贅沢は言っていられないか。
「追え追えっ!」
「いや、束縛が先よ!」
「任せろっ!」
俺の飛び出しに一拍遅れて、それぞれの岩場に待ち伏せていたらしい四人が一斉に臨戦態勢に入る……が、陣取り方、囲み方が甘すぎる。恐らくアラームが鳴ってから散開するつもりだったのだろうが、読まれてしまっては無意味だ。かつてならこれならこのまま逃げ切れるたろう。
しかし。
「……っ!?」
足元から感じる、ゾクリとした違和感。
咄嗟に岩場を蹴って、高々と跳ぶ。
「っ、なんだこりゃ!?」
それだけでは終わらないのが、この「魔法の世界」、ALO。
足元から這い寄ってきたのは、水で出来た蛇のような魔法の生物。足を縛りつくように捲き付いてくるその水流は、俺の跳躍が後コンマ数秒遅かったらしっかりと俺を拘束していただろう。全く、毎回毎回あたらしい魔法を披露してくれるぜこいつらは。嬉しくは無いがな。
「くらえっ!!!」
「っ、ぐおっ!?」
続けて繰り出される強烈な轢弾に、呻く。こっちは土属性の魔法か。見れば土妖精の女が、真直ぐに杖を突きつけて俺を見据えてやがる。おお、女のギルドメンバーもいたのか、あそこ。直線軌道の石つぶての攻撃は普段の俺の機動力なら簡単に避けられるだろうが、なにぶん今は跳躍中だ、羽の使えない俺では避けようがない。咄嗟に両手で急所を庇うが、それでも二割近くHPを持っていかれる。
(なるほど敵さんもそろそろ対策を取ってきてるな……)
羽を使わない、疾走と跳躍での機動力戦闘を旨とする俺に対して、まず機動力を殺ぐための移動阻害系魔法。続けてそれがかわされた場合の保険として、跳躍に対しての遠距離攻撃魔法。
そして、トドメは。
「うおおっ!!!」
「死ねやオラァ!!!」
クロー系の装備を構えた二人の猫妖精が、『随意飛行』で一気に距離を詰めてくる。どちらの顔も、この数日の戦闘で覚えがあるそれだ。確か以前会った時は確か二人とも剣や槍といった武器を装備していたはずだが、俺と戦う際にはそんな長物を振り回す余裕はないと知ったらしい。
しかし。
(正論だが、急造の接近装備じゃあ、な)
動きが、まだまだ甘すぎる。二年間体術戦闘の研鑽を続けてきた俺からすれば、隙だらけだ。振り抜かれた二人分の爪の一撃をかわし、一人の被ったつるりとしたヘルメットを踏みつける。羽の使えない俺は空中戦は絶望的だが、足場があれば別だ。
「ぐあっ!!?」
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