第三章
信じてはもらえないかもしれないが彼はクッキーが作れる。
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
じ開けておまけに手からクッキーを滑らせてしまった。大丈夫かい雪ノ下さん。さすがにクッキー二枚はその小さい口じゃきついんじゃない?」
「ゆ、雪ノ下が苦しそうだ! もういい…、もうやめてくれぇ!」
比企谷が、口に挟まれているクッキーに怯える雪ノ下さんに対し「もう見てられない!」と声をあげた。…本当だ! 雪ノ下さんが苦しそうだ! …ちくしょう、こんな時に何もできないなんて自分は何て無力なんだ…ニヤリ。
「ごめん雪ノ下さん…。別に君に恨みがあったとか嫌なやつだなと思ってたとか、胸は控えめが丁度良いさ…にこり☆。何てまったく考えてもないし行動にあらわした訳でもないんだ…。それにしても口が塞がって苦しそうだね。……よし」
―ジャリリリッ!
俺は雪ノ下さんの顎に負担を掛けないようにと気遣って、ゆっくりと口を閉じさせてあげた。
これで由比ヶ浜さんの作ったクッキーがよーく味わえるね♪ 君は勝ち組だ。
「き、桐山! 雪ノ下が水を欲してるぞ!」
「んー、んー(水、水、水、水、水、水、水、水、水、水、水、水、水…! ――以下 水)」
「え? 水なら今俺が飲んでるけど? …ごきゅごきゅ…ぷはぁ!」
「喉を潤してる場合じゃない! 速く!」
「むぅ、仕方がないな…」
俺はわざとらしく口を尖らせながら、ぶっきらぼうに自分の持っていたコップを手渡す。
「……(た、助かったわ。…こひゅー、こひゅー)」
「次は比企谷の番だな……って、あ! コップ洗うの忘れた!」
―ばしっ。(雪ノ下が飲もうとしていた水の入ったコップを奪う音)
「ふー、危なかったー。危うく間接キスしちゃうとこだったね……あ、あははっ♪ ちょっと恥ずかしいな」
「……(……)」
「いいからな? こんなタイミングで純情さを発揮しなくていいからな? 柄にもなく頬を赤らめなくてもいいんだからな?」
結果、俺が雪ノ下さんに水を飲ませてあげる事となった。
雪ノ下負傷=二十円、プライスレス。…もうやり過ぎも糞もないや。
倒れこんで俺に抱きかかえられている雪ノ下を見て、比企谷が由比ヶ浜に恨みをこめた目を向ける。…それは母親を目の前で巨人に食い殺された少年の目に似ていた。
「畜生! どうしてこんなことに…、いや、由比ヶ浜。お前も食え―」
「やだよ! あたしだってこんなの食べたくないよ! 雪ノ下さんだって倒―」
―ビシュシュシュシュ…じゃりじゃりりり!
某最弱の過負荷ゆずりの華麗な螺投げ…ならぬクッキー投げ。
「二人とも、口がお留守になってるぞ…。ほら、ちゃんと舌を使ってよく舐めて味わえよ?」
「ぎ、ぎりやま、下ネタが…多―あれ? これ秋刀魚の腸なんて入ってましたっけ? …がふっ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ