暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺達の青春ラブコメは間違っている。
第三章
信じてはもらえないかもしれないが彼はクッキーが作れる。
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ンスタント・ヘルと書いて「由比ヶ浜の料理」と読む。そして逆も然り。
 
 俺がもとのテーブルに戻り、薄力粉をふるい、混ぜ、そして溶かしたバターを入れてまた混ぜ...そうしているうちに例のブツが焼きあがったようだ。ちなみに目を離していたのになぜ焼きあがったことに気がついたのか。...それは匂いからして既に苦かったからだ。...ソレ劇薬か何かなの? それともここは理科室なの? 硫黄と鉄を化合させて硫化鉄でも作ってるの? それともアンモニアでも扱ってるの? と、言うような濃度の匂い。これはアンモニア(しゅう)ではなく、インスタントコーヒー臭だが。もしくは刺激臭とも言う。
 ...(にお)いをかぐときは手で(あお)いでかぐべし。

「な、なんで?」
 由比ヶ浜さんは愕然(がくぜん)とした表情で、物体Xを見つめている。...もしくは化学物質Xとも言えそうだ。
「理解できないわ...。どうやったらあれだけミスを重ねることができるのかしら...」
 雪ノ下が静かに嘆く。...小声なのは由比ヶ浜さんへの配慮だろう。流石に我慢しきれず声が漏れてしまったという感じだ。
 由比ヶ浜さんはできあがった未元物質(ダークマター)を皿に盛りつけようとする。...さすが学園都市の第二位。常識が通用しねぇ...。まあ、常識なんて有って無いようなもんだからな。一つの見方で全てを知った気にはならないぜ。

「待て。その未元物質は薬包紙に包んで扱ったほうが...いや、やはり安定した蒸発皿がいいかな...?」
「失礼な! あとここ家庭科室だし! そ、それに見、見た目はあれだけど...食べてみないとわからないよね!」
「そうね。味見してくれる人たちもいることだし」
「ふはははは! 雪ノ下。お前にしては珍しい言い間違いだな。...これは、毒味と言うんだ」
「もはや人体実験ですと言っても()(つか)えない。...違うぞ比企谷、これは毒殺と言うんだ」
「どこが毒よっ! ...毒、うーんやっぱ毒かなぁ?」
 いや「どう思う?」みたいな目で見られても...。
 俺は敢えて何も言わなかったが、比企谷は「答えるまでもない」と、いった様子だ。
 
「おい、これマジで食うのかよ? ジョイフル本田で売ってる木炭みたいになってんぞこれ」
「比企谷、それは言いすぎだ。ジョイフル本田の木炭のほうがまだ食えたりするかも」
 良く言いすぎたという意味か? と比企谷が言う。

「食べられない材料は使ってないから問題ないわ、たぶん。それに」
 雪ノ下が俺と比企谷のほうに歩み寄ってくる。

「私も食べるから大丈夫よ」
 そう耳打ちしてきた。

 似つかわしくない胸を打つ台詞に、
「マジで? お前ひょっとしていい奴なの? それとも俺のこ
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