第三章
信じてはもらえないかもしれないが彼はクッキーが作れる。
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? 俺寛容なのか? ...ん、俺流されてね?
「あれだけ言われて、だなんて。初めて人の役に立てたのだからもっと喜びなさい。...ああ、なまはげと言っても別に比企谷くんの頭皮に対して何かふくむところがある...と、言うわけではないから、安心して」
そう言った雪ノ下の表情は、正しく天使の微笑みだった...うわぁ。
「別に最初から心配してねーよ。一瞬でも落ち込んでなんかしてねーし...やめろよ。そんな温かい眼差しで俺の髪を見つめるなよ...。あ、 あの...そ、それとなんだが桐山。珍しく本当に優しげな微笑みを俺の髪の生え際に向けるなよ...。おい、やめろ。あのお前がそんな顔したらほ、本気で心配になっちゃうだろぉが...。―なっ、手を合わせて合掌すんのやめろよ! 別れの言葉を呟くなよ!」
どうやらギャップというやつの破壊力は凄いらしい。比企谷が珍しく結構本気で涙目だ。
比企谷は目をしこたま潤ませながら怒鳴り声をあげ、さっと自分の髪の生え際を手の平で隠した。
比企谷の涙目=二十円、プライスレス...。ちょっとやり過ぎた?
俺は少々罪悪感を覚え、比企谷を見て笑う由比ヶ浜さんをなだめた。
俺は未だに紐を結んでいない由比ヶ浜さんに注意をし、俺もすぐクッキー作る気だけど、雪ノ下さんと先に作っていてくれ、と頼んだ。
そして、隣の家庭科準備室に繋がっている扉に雪ノ下と由比ヶ浜さんが入っていくのを見届けてから、残された比企谷に声をかけた。
「悪かった比企谷。...今回ばかりは俺が悪かった。八十円、明日返すよ...」
「良いんだ。だけど桐山、聞いてほしい。...実は俺の父ちゃん、最近でこが広くなってきた気がするんだ...」
「...ぐぅっ! そ、そうか...お父さんが。わ、悪かったよ比企谷...。当然ながら俺の冗談なんだ。大丈夫、気のせいさ、まだまだ俺も、お前も死なねーよ...」
俺は比企谷に腐った笑みを向けて言った。そして、引きつった口を小さく歪め、少しの恥じらいを感じながら、俺も髪の生え際をおさえた...。
―父さん...最近でこが禿げ上がってきたんじゃない?
× × ×
落ち着きを取り戻しつつある比企谷をその辺の椅子に座らせてから、俺もクッキーを作り始めた。
すでに一つのテーブルは雪ノ下と由比ヶ浜さんが使用していたので、俺は比企谷を連れて、隅っこのテーブルに陣取った。それにしても女子のエプロン姿とは、癒されるなぁ。
...何だろう、この絵面。僕らは一体何をしてるんだろう...。そう、一瞬考えてしまったが、奉仕部の活動にやる気を見せている俺はオーブンを170℃に設定し、今のうちから温めておく。
「意
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