第三章
信じてはもらえないかもしれないが彼はクッキーが作れる。
[2/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たり重なる。
ホントにホントにホントにホントにユッキノ〜シタ〜♪ というCMの音楽がエンドレスで脳内に響く。
殺されちゃったらどーしよぉー♪ ...いや、マジでどうしよう。―アノ目、コロス気。キリヤ、ヨコに跳ぶ。っとか一瞬のうちに考えちゃったじゃないか! ちなみに今、軽く膝を曲げている状態だ。いや俺、跳ぶ準備万端だなオイ!
それにしても両親はサファリで一緒に遊んでくれたことも覚えていないんだろうな。虫の絵が描いてあって、転がしても絵だけが動かずに回る。その日に買ってもらった、その不思議なフラッシュボールを一生懸命に追いかけてた僕の髪を嬉しそうに笑いながらくしゃくしゃした事も覚えてないのだろう。
二人の笑顔も、僕を撫でた手の平の温かさも、心の熱も、感情も全て無くなってしまったのだろう。なかったことになったのだろう。
全て「嘘」にされてしまったのだろう。
....いや、嘘が優しい「まがいもの」なら、確かに今、生きている僕が取り上げられた者たちは、きっと嘘ではなく、酷く理不尽で残酷な、現実なのだ。...はぁ。
―現実。...少しは遠慮しろ。
「取り返しがつかなくなるとか人を躾の道具につかうな。俺はなまはげかよ」
もしかすると「僕」は彼らを勘違いしていたのだろうか?
―強く残った記憶は消えない。そんな甘い言葉が載った「涙がでるお話」を小さい頃、母親に読んで聞かされた。そして、成長してからも嵌まった漫画に登場した最低最弱の過負荷の、あの『』つけたキャラに感動し、彼の『強く残ったその記憶は僕の劣化した過負荷なんかじゃ消せないぜ』と、いう言葉に可能性すら感じた。
―ただ、その理想すらも、やはりただの大嘘憑き。
漫画や物語なんて同じような弱者が考えた、ただの願望。『物語の外側』は悪人が改心することなんか無く、過負荷は過負荷のまま、球○川は球磨○のまま、マイナスはプラスになれず、不幸なやつはいつまでたっても不幸を感じる。そして、最低は這い上がれない。そのキャッチコピーの通り、正しく『混沌より這いよる過負荷』。決して這い上がりはしない。
そう諦め半分でも「彼」なら全てを救ってくれると理不尽に信じてしまう俺は本当の意味で救いようが無いかもしれない。
あの日の夜、公園で出会った彼は、一体今はどこにいるのだろうか...。
「それで桐山。お前雪ノ下に何にも言い返さなくて言いのか?」
「...へ? あ、いや、何でもないし。...えーと、まぁそういうのも雪ノ下さんぽくって良いんじゃない?」
「...ど、毒気のない、桐山だと!?」
「いや、毒気って...
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ