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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-23魔女の教室
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しまいましょう」


 馬車は船に到着し、トルネコの指示で荷物を各所に運び込む。

 アリーナは荷物を運びながら、物珍しげに船を観察する。

「これが、トルネコの船か!なかなか立派だな!」
「ふむ。城の御用船(ごようせん)には、流石(さすが)に及びませぬが。個人が持ち、冒険者が使う物としては、有り得ぬ豪華さですの」
「長い旅では、生活の場になりますからね。いろいろと、奮発(ふんぱつ)しましたの。あら。そう言えば。マーニャさんとブライさんに、見ておいていただきたいものが、ありますのよ。」

 トルネコの発言に、マーニャが怪訝な顔をする。

「なんだ?今さらオレまで、改めて見るようなもんがあんのか?」
「ええ。今のところ、船で生活することはなかったから、お見せしてなかったのですけれど。とにかく、来てくださいな。」
「俺たちも、行っても良いか?」
「もちろんですわ。おふたりには、ご協力いただきたいことがあるのですけれど。みなさんにも、関係あることですから。」
「では、私たちも行きましょう」
「うん」

 トルネコの先導で、船の奥に入る。


 船の奥には、湿気がこもらないように工夫された造りの続き部屋がふたつあり、奥の部屋には金属製の大きな箱が置かれていた。

「なんだ、こりゃ?」
「手前の部屋は脱衣所、奥の部屋は浴室。そしてこれは、浴槽ですわ!ちゃんと、男湯と女湯も、分けてありますのよ!」
「つまり、風呂か。なんで、オレとばあさんに?」

 ますます怪訝な顔をするマーニャと、明るく声を上げるブライ。

「ほほう!なるほど、そういうことか!」
「わかっていただけまして?」
「うむ。わしの氷の魔法を水源として、マーニャ殿の炎の魔法で、沸かしてもらうつもりじゃな?」
「その通りですわ!ふつうなら、船旅では水も燃料も、無駄にはできませんけれど。炎と氷の魔法の使い手が揃っていれば、その心配はいりませんもの。用意しておいて、本当によかったわ!」
「うむ!トルネコ殿は、先見(せんけん)(めい)があるの!」
「そうでしょう!」

 話は理解しながらも、微妙な表情のままのマーニャが、疑問を口にする。

「……船を造ってたときは、オレもばあさんもいなかったよな。揃わなきゃ、どうする気だったんだ?」
「それは、無駄になりましたわね。」
「金属製の浴槽とか、特注品だろ?使うかもわからねえもんに、よく出したな」
「必要になってから、用意しておかなかったことを後悔しても、遅いんですのよ!」
「全くじゃて!これを無駄だなどとは、とんでもないことじゃ!」
「お風呂に、入れるのね。うれしい」
「……」

 トルネコとブライに加え、少女までもが喜びを口にし、さらに微妙な表情が深まるマーニャ。


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