第三十九話 すきっ歯ってダサいよな
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放課後になり、宮殿に帰ろうといつもの三人で歩いていると、見知った人物が立ちはだかった。
「よぉ、元気そうだな貴族」
闘悟は目の前にいる人物にふてぶてしい態度をとった。
「ふん、相変わらず嫌味な奴だな平民」
そこにいたのは、金髪碧眼(へきがん)のイケメンであるリューイだった。
今日は取り巻きもおらず、一人で来ているみたいだ。
「いつも周りにいる連中はどうした? もしかして愛想(あいそ)を尽かされたか?」
すると、リューイはさも気にしてはいないと言った感じで微笑する。
「あのような連中、所詮(しょせん)は僕の後ろ盾を得たくて集まった愚か者どもだ」
その後ろ盾を大いに振るっていたのは誰だ?
そんな言葉を飲み込んで、闘悟は聞きたいことがあったので口を開ける。
「何か用か……って聞くまでもねえみてえだな。話は『魔武大会』か?」
「察しがいいな。さすがは僕を少しだけ転ばせただけはある」
完膚無きに負けたことを、まるで小石にでも躓(つまず)いたかのように言う。
「それで? 転ばせられた男に何を言いたい?」
言いたいことは分かっているが、あえてリューイの口から言わせる。
「……次は僕の本当の力を見せてやる」
おお、言うに事欠いて、昨日の決闘はリハーサル的な発言をしてきやがった。
これに反応したのは、闘悟ではなくミラニだった。
「シュールベル殿。些(いささ)か情けないように感じますが?」
「……何だと?」
ミラニの方へ鋭い視線を向ける。
「負けを負けと潔く認めるのも強さの証です。あなたには、それができないと申すのですか?」
「……ふん、負けてなどいない」
リューイの逆に潔い言葉で皆がポカンとする。
こうまで自分の負けを認めない態度を貫くのも一種の才能である。
ミラニが何か言おうとしたが、闘悟がそれを手を挙げて遮(さえぎ)る。
「だから、本番の『魔武大会』で決着をつけようと?」
「結果は見えてるがな」
本当は昨日のこと記憶に無いのではないかと疑いたくなるほどの言動だった。
どうやったらこんなに自信が持てるのか、いっそ清々(すがすが)しいくらいだ。
「分かった分かった。じゃあ、大会の時、もしお前と当たるようなことがあれば、またコテンパンにしてやるよ」
「次は必ず勝つ」
「……お前、語るに落ちてるぞ?」
「……はっ!?」
次は必ず勝つということは、今回は負けたと認めている証拠だ。
「馬鹿なのか?」
「き、き、貴様! い、今のは言葉のアヤというやつだ! 僕は決して、断じて、負けたわけではない!
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