第三十九話 すきっ歯ってダサいよな
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ああそうだとも!」
必死で抗議する様を見てると、権力に塗(まみ)れたクズというより、勘違いしているただの馬鹿だという認識を持ってしまう。
いや、もう認めよう。
コイツはエリートだが、抜けたところがある、ただの馬鹿だ。
「闘ってやるから、予選落ちなんかすんなよ?」
「ふん、誰に言っている? 去年の僕の成績はベストテン入りだぞ?」
「去年は去年。今年は今年だろ?」
「なっ!」
「それにだ、今年はお前が低能って思ってる奴らが、もしかしたら大番(おおばん)を狂わせるかもしれないぜ?」
闘悟は含みを込めた微笑を向ける。
「何を言っているのかは分からないが、貴様との決着は必ずつける!」
リューイは闘悟を指差して答える。
そして、急に跪きクィルの方へ視線を向けた。
クィルはビクッとなり、また前のように闘悟の袖を掴んで背後に回る。
「クィルネス様。数々の無礼をお許し下さい。しかし、必ずや王侯貴族の名に恥じぬ闘いをお約束致します」
そして、イケメンスマイルを彼女に向けたわけだが、彼の眩しく光る歯を目にした闘悟は笑い転げる。
「き、貴様! 何だいきなり!」
「だははは! だ、だ、だって、だってそのはははは!」
あまりにも強い笑いの衝動にしっかりと言葉を伝えることができない。
何故なら、リューイがいつも女の子を口説く時に使うであろうイケメンスマイルが、全然決まっていないからだ。
本来なら大抵の女の子は頬を染めるだろう。
しかし、今の彼が爽やかに微笑んだとしても、開いた唇から覗く白い歯が…………欠けていることで全て台無しにしていた。
「すきっ歯ってやつかよ! だははは!」
闘悟は腹を抱えて笑っている。
クィルはさすがに失礼だと思っているのか、闘悟の様子を見てそわそわしている。
ミラニは遠くの方を見て我関(われかん)せずのような態度をとってはいるが、肩が微妙に震えている。
どうやら、彼女は笑いを必死に堪(こら)えているみたいだ。
「こ、これは仕方が無いだろう! 元はと言えば貴様のせいだろうが!」
顔を真っ赤にして指を突きつけてくる。
「腹を殴っただけで終わればいいものを、よりにもよって僕のこの顔を地面に叩きつけたせいで、こうなったのだ!!!」
「いやいや、悪い悪い。まさか歯が欠けるとは思ってもいなかったよ。まさかそんな面白えことになるとは……オレってグッジョブだよな!」
「グッジョブではないわ!」
親指を立てる闘悟に対し憤慨しながら立ち上がる。
「全く、貴様のような平民と話していると、こちらまで品性が落ちてしまうわ!」
「その歯で品性とか言われてもな……ぷ
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