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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-22王子と勇者
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えればいいと思う」
「守りたい、もの。」

 それは、一度は全て、失ったもの。
 そして、新たに得たもの。

 世界を知って、まだ知らない場所にもきっと大事なものがあると、気付き始めているもの。

「俺たちは、同じ運命(うんめい)の仲間だったな。何も、ユウがひとりでやる必要は無い。というか、もしもユウがやらないと言ったら、俺はひとりでもやる。世界を救わなければ、国どころでは無いからな。だが、それは俺が決めたことだ。ユウはユウで、自分で決めていいんだ」
「自分で、決める。」

 もうほとんど、答えは出ているけれど。
 それでも、はっきり言葉にするには、まだ、足りない。

 (ちから)が。
 (きずな)が。
 自信が。
 決意が。

「……ありがとう。わたし、わかったような、気がする」
「そうか。まあ、焦ることは無い。何にしても、まだまだ鍛えないと話にならないからな!俺に勝てるくらいに!」
「アリーナに?……それは、難しいと、思う」
「手合わせだけなら、無理でも無いだろう。(ちから)加減無しの実戦なら、難しいかもしれないが。それも魔法ありなら、わからないしな」
「そうかな」
「そうだ。まだ時間はあるな。もう一本いくか」
「うん」


 再び手合わせを始めた若者たちを、物陰から見守るふたつの影。

「王子……!ご立派に、なられましたな……!」
「ブライさん。これは、(のぞ)きとか盗み聞きというのでは」
「そうじゃの。お(ぬし)も共犯じゃて」
「……」
「まあ、良かったではないか。ユウちゃんが何を悩んでおるかわからねば、ミネア殿も安心できまいて」
「それは、そうなのですが。罪悪感が」
「なに。バレねば良いのじゃ。親というのは、このようなものじゃて。さ、見つからぬうちに、ゆくぞ」
「……親、ですか……」

 影は去り、若者たちは鍛練に励む。
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