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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-22王子と勇者
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ん。アリーナが、小さい頃の、お話。武術(ぶじゅつ)を、始めたお話」
「そうか。まあ、そういうことだ。結果として、人の痛みを知ったわけだから、良かったとも言えるな」
「よかった、の?」
「そうとも言えるというだけだ。全部が良かったと、思えるわけでは無いな」
「……そう。やっぱり、いやなことは、いや、よね」
「嫌だ、と思ったことも、あったな」
「今は、いやじゃ、ないの?」
「どうかな。喜んで受け入れるという(ほど)では無いが。どうしても嫌、というわけでも無いな」
「それは、魔法が使えないこと?王子様なこと?」
「魔法のことは、もういいんだ。俺には、武術があるからな」
「じゃあ、王子様な、こと。」
「そうだな。だが、それも、受け入れようとは思ってる。守りたいからな」
「なにを?」
「サントハイムをだ。親父が、ブライが、皆が守ってきた、国を。そこに暮らす、(みんな)を。どうして俺が、と思ったこともあったが。俺が王子だから、皆を助けるために堂々と動けるし、協力が得られることもある。そういう意味では、俺が王子で良かったな」
「王子様、だから。できることが、あるのね」
「ああ」
「しなきゃいけないんじゃなくて、したいのね」
「そうだ」
「……わたしは……」
「ユウは、嫌なのか?」
「……うん……」
「それは、勇者と呼ばれることか?勇者であることか?」
「勇者なんて、いやって、思ってたけど。今は、よくわからない。わかってるのは、わたしが勇者だったから、村のみんなが死んじゃったこと。みんなが死んじゃったのは、いやだってこと。だから、みんなを殺したあのひとが、デスピサロが、許せないって、こと。」
「そうか。だから、デスピサロを倒したいんだな」
「うん」
「デスピサロを倒すには、(ちから)()るな」
「うん」
「ユウが強くなれるのは、ユウが頑張っているからでもあるが。強くなれる素質を持った、勇者だからでもあるな」
「勇者、だから」
「今のユウにとっては、勇者と呼ばれて世界を救えと言われることは、嫌なことかもしれないが。勇者の(ちから)があることは、良いこととも言えるな。それがあれば、デスピサロを倒せるかもしれないのだから」
「それが。あれば。」
「俺が魔法を使えないように、素質が無ければどうしようも無いこともある。過去を忘れる必要は無いが、今、役に立つ(ちから)を、恨みに思うことは無いと、俺は思う。過去のことと、その(ちから)とは、別のことだ」
「別の、こと。」
「俺は、国を守りたいと思うが。漠然(ばくぜん)と、国を、世界を守れと言われても、わからないな。守りたいのは、そこに守りたいものが、人が()るからだ。ユウも、世界を守りたいかどうか、わからなかったら。守りたいものが()るかどうか、考
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