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DQ4TS 導く光の物語(旧題:混沌に導かれし者たち) 五章
五章 導く光の物語
5-20王子と神官
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ないですね」
「待たれよ。この魔法、どこかで見たと思ったのじゃ。我がサントハイムに伝わるものと、似ておるの。よく見れば、進む方向が示されておるはずじゃ」
「方向?……矢印みたいなのが、あるね」
「本当ですね。今来た道を見れば、矢印の方向が進む方向ということになりそうです」
「なら、その方向を考えて、進む道を選べばいいのね。あたし、そういうの苦手なのよねえ。」
「どちらから匂いがするか教えて頂ければ、それは私たちで考えましょう」
「うむ。そうじゃの」
トルネコの情報に基づいてミネアとブライが進む道を決定し、少女は通った経路を覚えながら、洞窟を進む。
進む中で、王子一行に遭遇した。
先頭の戦士が、少女に声をかけてくる。
「やあ、また会ったね。覚えてないかな?ブランカのお城で、会ったじゃないか。あのときは、仲間がいっぱいで、仲間にしてあげられなくて、ごめんね。」
「あのときの。……仲間の人が、ちがうね?」
「ああ。みんな、旅の
辛
(
つら
)
さに
音
(
ね
)
を上げてしまったんだ。よくあることさ。」
「よく、ある、の」
二番目の兵士が、話に加わる。
「地獄の帝王から、世界を救うための旅でござるからな。
生半
(
なまなか
)
な者には務まらぬ。」
三番目の詩人も、同意する。
「出会いがあれば、別れもある。その
巡
(
めぐ
)
り合わせで、うしろにいるアリーナ王子も、私たちの仲間になりました。彼を助けて、この洞窟までやって来たのです。」
辺りを見回していた
最後尾
(
さいこうび
)
の若者が、名前に反応して顔を向ける。
「呼んだか?……って、ブライじゃないか!どうしたんだ、こんなところまで」
「王子!心配しましたぞ!こちらの
方々
(
かたがた
)
が、宿で声をかけてくだされての。やはり王子だけにお任せしてはおけぬと、彼らの仲間になり、追いかけて参ったのです」
「心配するなと言っただろう。パデキアの
種
(
たね
)
は俺たちが見つけて、クリフトを助けてみせる。みんな、行くぞ!」
「はい!」
「王子!待ちなされ!」
立ち去ろうとする王子一行の前に、魔物の群れが現れる。
前の三人が悲鳴を上げる。
「で、出たー!」
「王子!お願いします!」
「た、助けてください!」
若者の背後に逃げ込み、震える三人。
楽しそうに飛び出す若者。
「よし!任せろ!」
若者は瞬時に魔物の
懐
(
ふところ
)
に飛び込み、一撃を
入
(
い
)
れる。
急所に強烈な打撃を受けた魔物は、
断末魔
(
だんまつま
)
を上げることも無く
絶
(
ぜつ
)
命
(
めい
)
し、若者がいた方向に倒れかかるが、既に若者の姿はそこに無い。
一体目の絶命を確認する前に二体目に取りかかり、
瞬
(
またた
)
く
間
(
ま
)
に魔物の群れを
殲滅
(
せんめつ
)
した。
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