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連隊の娘
第一幕その九
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第一幕その九

「その娘でしたら」
「えっ!?」
「えっ、でなくです」
 大いに驚いて目を見開いた夫人に対してまた言ってきた。
「その通りですが」
「生きているのですか。娘が」
「ああ、丁度いいところに」
 こう言うとだった。そこにマリーが来たのであった。
「この娘がそうですが」
「ではこの娘が」
「間違いありませんな」
 ホルテンシウスは主の問いに対して答えた。
「この娘さんが奥様の娘・・・・・・いえ」
「そうよ」
「姪御様です」
 何故かこう言い換えるのであった。
「間違いありません」
「何という奇跡」
 夫人は最早天にも昇る有様であった。
「こんなことが起こるなんて」
「マリー、いいところに来たな」
「どうかしたの?」
「御前の家族が見つかったのだよ」
 にこりと笑ってマリーに告げるのだった。
「御前のね」
「私の?何言ってるのよ」
 こう言われてもからかわれてると思って笑うマリーだった。そしてそのシェルピスに対して言うのであった。
「軍曹も冗談を言うのね」
「いや、これが冗談ではなくてだな」
「私の家族はこの連隊じゃない」
 マリーにしてみればまさにそうであった。だからこその今の言葉であった。
「それで何でそんなことを言うのかしら」
「冗談ではありませんよ」
 その彼女に対して夫人は何とか姿勢を保って告げた。
「マリー=ブレスフィールドですね」
「何で私の名前を知ってるのかしら」
 マリーは夫人を見てまずはこう思った。
「そういえば貴女村の人達の中にいたけれど」
「私は貴女の母」
「お母さん!?」
「いえ、伯母です」
 咄嗟に言い繕う夫人であった。
「貴女は私の妹の娘だったのです」
「嘘よ。まさかそんなことが」
「いや、間違いないことだ」
 信じようとしない彼女に対してシェルピスが告げた。
「私もまだ信じられないのだがな」
「嘘、そんなことが」
「遂に見つかったのね」
 夫人は今も天にも昇る様子であった。
「娘が・・・・・・いえ姪が」
「ようございましたな、奥様」
「全くよ。ではマリー」
「はい?」
「貴女を引き取らせてもらいます」
 こう彼女に申し出てきたのであった。
「それで宜しいですね」
「私を?何故?」
「我がブレスフィールドの家名と財産の相続人だからです」
 マリー本人にもこのことを告げるであった。
「それに何より」
「何より?」
「貴女は私の姪なのですから」
 今度はすぐに言えた。
「だからです」
「いいえ、それはできないわ」
 しかしマリーは彼女の言葉を聞こうとはしなかった。
「私はこの連隊の娘よ。貴族の生活なんて柄じゃないわよ」
「柄とかそういう問題じゃないのよ」
「左様です」
 拒もうと
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