第二十六話 植物園その十二
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「まさにな」
「それでよね」
「そういったのを食べるかどうかよね」
「ああ、君達もどうかな」
彼等の方からも誘いが来た。
「一緒に楽しむ?」
「量はたっぷりとあるからね」
「何しろ北海道の親戚がどっさりと送ってくれるから」
それで手に入れているものだというのだ。
「どんどん食べてよ」
「妖怪の世界に遠慮って言葉はないしね」
「ううん、それじゃあね」
「お言葉に甘えて?」
愛未も聖花も北海道の山海の珍味、美味と言っていいそれを見てその喉をごくりとさせたうえで言った。
「石狩鍋にジンギスカン」
「海鮮丼にメロンにジャガイモを」
勿論とうもろこしにチーズもだ。ラーメンまである。
「皆と一緒にね」
「楽しませてもらおうかしら」
二人はそちらに大きく傾いた、だがここで。
聖花が愛実に顔を向けて言った。
「あっ、その前にね」
「泉ね」
「そう、それね」
これのことだった。
「それ確かめに行く?」
「そうするの?」
「そうね、それじゃあね」
「今のうちにね」
二人も二匹の言葉に頷く。そうしてだった。
植物園の泉の候補地である一番古い温室に向かった、そこに入ってみたがやはりそこもなのだった。
何ともなかった、二人は温室から戻って二匹に言った。
「ここも違ったわ」
「残念だけれどね」
「ううん、ここもなんだ」
「そうなんだな」
「まあ次ね」
「次に行くわ」
二人は特に気落ちすることもなく二匹に返した。
「さて、次は何処に行くか」
「そのことも考えないとね」
「段々場所限られてきてないかい?」
猫又は左の前足を上げて二人に言った。
「そろそろさ」
「ううん、学園の中の色々な場所も巡ったし」
「そうなってきたかしら」
二人も猫又の言葉に顔を見合わせて話した。
「後は何処か」
「何処に行くかよね」
「美術館に教会にお寺に」
送り犬が具体的な場所を挙げていく。
「後は劇場とか道場かな」
「まだ結構ない?」
「挙げていくと」
「広くて色々な設備がある学園だからね」
送り犬はまだ候補地があることについて言った。
「それも当然じゃないかな」
「ううん、そうなのね」
「それでなのね」
「そう、まだあるよ」
送り犬はまた言った。
「少なくなってきたのも確かだけれどね」
「美術館とか教会とか」
「劇場とかも」
「うん、色々あるけれど回ってくよね」
「何かそれが楽しみにもなってるしね」
「そうね」
二人で言った、そのうえでだった。
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