第二十六話 植物園その九
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「来ると思うわ」
「じゃあ暫くここで待って」
そのほんの五分をというのだ。
「静かにしていましょう」
「そうね、じゃあね」
「五分なんてすぐだよ」
送り犬も二人に言う。
「ほんのね。だからね」
「ええ、それじゃあね」
「待って」
こうした話をしながらだった、五分待った。
五分はすぐだった、十二時になると。
何処からともなくあちこちから小さな、和服を着た男の子や女の子達が出て来た。赤や青、白に黄色に桃に緑と様々な色pの着物だ。
その着物を着た子供達とだった。
白地に赤等の独特の模様のあるアイヌの民族衣装を着た人達も来た。愛実はその人達を見て送り犬に尋ねた。
「あの人達がコロポックルよね」
「そうだよ」
送り犬は愛実の問いにはっきりと答えた。
「北海道から来たね」
「そうよね、あの人達が」
「後他の人達だけれど」
「花の精ね」
「そうだよ。色々な花のね」
一つの種類ではないというのだ。
「それぞれの色のね」
「花以外にもだよ」
猫又は送り犬の言葉を補完して言った。
「植物自体の精だからさ」
「だから緑の服の人もいるのね」
「そういうことさ。赤や青の花があってさ」
そしてだった。
「白も黄色もあるから」
「赤は薔薇とか?」
聖花は鮮やかな、まさに薔薇色の服の精を見て言った。
「その他にも色々な赤い服があるけれど」
「薔薇もあるし椿やチューリップもあるよ」
「花の色でなので」
「そうだよ、チューリップはトルコとかオランダの花だけれどさ」
オランダの花と思われることが多いがトルコでも国花なのだ。宮廷でチューリップを咲き誇らせたこともある位だ。
「日本に来たらさ」
「日本のお花になるからなのね」
「だから日本人の格好なんだよ」
「それでなのね」
「そうだよ、薔薇もね」
この花もだった。
「日本にいて長くなるとね」
「日本人の外見で日本人の服になるの」
聖花は薔薇色の服の精やチューリップのその鮮やかな黄色の服の精を見た。見れば彼等の外見は黒髪で切れ長の彫の浅い顔だ。
それで和服を着ている、それを見ればだった。
「どう見ても日本人ね」
「だろ?猫又でもそうなんだよ」
猫又は自分の種族のことにも言及した。
「シャム猫の猫又もいるから」
「シャム猫のなの」
「そろそろスコティッシュフォールドも出るかな」
垂れ耳に丸い顔と目の猫である。その性格は温和で優しく人懐っこいとされているがこの辺りはそれぞれの猫による。
「まあ日本に長くいるとさ」
「日本の妖怪になるのね」
「そうだよ、それでさ」
猫又はここまで話して話題を変えてきた。
「挨拶する?皆に」
「ううんと、それじゃあね」
「今からね」
聖花に続いて愛実も猫又の言葉
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