黄巾の章
第7話 「はにゃ? 愛紗、だれなのだ?」
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れなくなっているんじゃないのかな。だからきっと盾二を慕う連中がそうあってほしいって、言い出したんじゃないか?」
「……ふむ」
「あたしら官軍が黄巾に負け続けているし……そう思われてもしょうがないってのは、あたしにもわかるよ。情けないけどさ……」
「あ〜……それ言われると、うちもつらいわぁ」
張遼どのは、苦虫を噛みつぶしたように顔をゆがめる。
「まあ、だからさ。ここは普通の義勇軍だよ。別に漢に反旗を翻している集団って訳じゃないさ」
!?
そ、そうか……
天の御遣い。天子様。
『二天、共に抱かず』……なんてことだ。
官軍と一緒になれば功績が認められると単純に思っていた。
だが実際は違う。
私たちは勘違いをしていたということか。
ご主人様を危険な目にあわせようとしていたとは……
「ふむ……」
張遼どのは思案気にご主人様を見ておられる。
報告するべきか迷っている、そんな感じだ。
「なあ、文遠どの。あたしはこの義勇軍に助けられた。そして……あたしを護って死んでいった仲間を、西涼のみんなを弔ってくれたんだ。あたしは、みんなの誇りを護ってくれたこの義勇軍に感謝してるんだ。頼むよ……」
馬超どのが、張遼どのに頭を下げている。
馬超どの……
「ふふ。あの馬孟起に頭を下げさせるとは……気に入ったで!」
張遼どのが快活に笑った。
「安心しぃ! あんたらは立派な義勇軍や! 天の御遣いなんて怪しいもんなんぞおらん! ここにいるのは、漢のために命すら投げ出す民の鏡しかおらへんのや! このことはうちの真名にかけて誓こうたる!」
「文遠どの……」
「霞や、孟起。あんさんにその真名、預けるで」
「あ、ああ! ありがとう! あたしは翠だ!」
ふたりはがっちり手を握り合った。
「そういうこっちゃ! 翠に感謝しいよ、あんたら」
「ええ。それは重々に。ありがとうございます。孟起どの」
ご主人様が深々と礼をする。
それに対して顔を真っ赤になりながら手をぶんぶんと振る馬超どの。
「よ、よせよ、盾二! あんたにも真名を預けたんだ。そんな堅苦しい言い方しないでくれよ!」
「なんや、あんさん。あんさんも翠の真名を預かっとんのかいな! それをはよ言いなや!」
「はは……恐れ多いことですが」
「そっかぁ……うん! ええで! 翠に認められたあんさんらや! うちの大好きな関羽もいる! みんなに真名を預けるで!」
張遼殿が笑顔で叫ぶ。
それに最初に乗っかったのは……やはり桃香様だった。
「ほんと!? あ、じゃあじゃあ! 私は桃香って言います! よろしくね、霞さん!」
「鈴々は鈴々というのだ! 馬超のお姉ちゃんも張遼のお姉ちゃんにも預ける
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