黄巾の章
第7話 「はにゃ? 愛紗、だれなのだ?」
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、な! あんさんの持ってるそれが、噂の青龍偃月刀なんやろ! 頼む! 頼むで〜見せたってぇな! この通り!」
「いや、は、はい……ど、どうぞ」
抱きつかれ、さらしに巻かれた豊満な胸を押し付けられ、あまりのはしゃぎっぷりに、つい……了承してしまった。
しかたないので愛刀の青龍偃月刀を、張遼どのに渡す。
「ほえ〜……なるほど。重さはやっぱこっちの方が上やなぁ……切れ味もかなりよさそうやし……ううん。よし、決めた!」
張遼どのがしばらく逡巡した後、愛刀を返しながら叫んだ。
「ほんまあんがとな! やっぱもうちょい切れ味鋭くさせて、重さもあげよ! 帰ったら早速鍛冶に頼まんとあかんな! いや〜楽しみになってきたわ!」
「い、いえ……」
張遼どのの陽気な様子に終始圧倒される。
悪い人ではない。悪い人ではないのだろうが……
「はにゃ? 愛紗、だれなのだ?」
ご主人様がいる天幕の前には鈴々が立っていた。
歩哨のつもりだろうか?
「官軍の張遼どのだ。ご主人様と桃香様にご面会なさるそうだ」
「わかったのだ。お兄ちゃん〜お姉ちゃん〜お客さんなのだ〜!」
鈴々……お客さんはやめろ。
私は天幕の中に入っていく鈴々にため息をつく。
「すみません、張遼どの……」
「あはは。気にせんでええよ。元気な子やねぇ。でも、なかなか強そうや」
張遼どの……意外と抜け目がない方のようだ。
そう思っていると鈴々が再び出てくる。
「どうぞなのだ。中には馬超のお姉ちゃんもいるのだ」
「おー、あんがとな。んじゃ、失礼すんで」
張遼どのが天幕へと入っていく。
私もそれに続いた。
中には、まだ布団から起き上がれない馬超どのが上体だけ起こして座っておられる。
その横に桃香様、ご主人様、朱里と雛里が控えていた。
「おー孟起。無事でよかったわぁ。さすがに反対方向に向かってたとは気付かんで、えらいすまんかったなぁ」
「いや……あたしこそ迷惑をかけた。文遠どのにはご足労かけて申し訳ない」
「いやいや……あの華雄のバカのせいやし、気にしぃな。ほんま、無事でよかったで」
「ああ……こちらの義勇軍に助けられたんだ」
そういって馬超どのが、桃香様とご主人様へと視線を向ける。
張遼どのはそれを見て、胸の前で掌と拳を合わせて礼をする。
「うちは、姓は張、名は遼、字は文遠や。董卓軍の武将で、今回の黄巾討伐部隊で指揮しとるもんや。馬超を救ってくれて、ほんまにありがとう。で、えーと……指揮官はどちらさん?」
「えっ……と」
「彼女です」
逡巡する桃香様に、ご主人様が一歩下がる。
ふむ……確かに盟主となるならば桃香様ではあるが。
だが、主導権をとるならご主人様が、挨
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