黄巾の章
第7話 「はにゃ? 愛紗、だれなのだ?」
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か? 俺なんかに預けて」
「うーん……そうだな。信頼の証、と取ってもらっていいよ。あたしの真名にかけてさっきの言葉に偽りがないことを誓う。あたしの真名は『翠』だ」
「……わかった。君の真名、確かに預かった。俺に真名はないから『盾二』と呼んでくれ。それが俺の真名みたいなもんだ」
「わかったよ、盾二」
そういった北郷……盾二は、微笑みながら桃香の頭を撫でている。
あ。
そのときに解った。
似ているんだ。
あたしの前で馬岱――蒲公英の頭を撫でていた、今は亡き父様の姿に。
あの大きな背中に。
「そっか……うん。そうなんだ」
「?」
盾二があたしの言葉に首をかしげる。
ふふ……そっかそっか。
そっかあ……ふふふ。
「よろしくな、盾二!」
「ああ。よろしくな、翠」
―― 関羽 side ――
ご主人様から官軍と合流することを告げられた翌日。
私たちは、合流して来た官軍の部隊と面会していた。
「うちは董卓軍配下の張遼ってもんや。この部隊の指揮官はおるか?」
「あ、はい……ご案内します」
妙な訛りのある言葉だが、悪い方言ではないな。
それより……さらしに臍出しとは、少し目のやり場に困る服装だが。
私は張遼とおっしゃった官軍の武将を天幕へと案内することにした。
「ところで……アンタ、もしかして関雲長といわへん?」
「は? あ、はい……そうですが」
「やっぱり〜!? も〜うち、めっちゃアンタに会いたかってん!」
いきなり猫なで声を出して抱きついてくる張遼どの。
な、なななななな!?
「あ、あの、え? ど、どこかでお会いしたことが……?」
「あ、あ〜ごめんなぁ。会ったことはないねんけど、アンタの噂はようしっておるで。幽州の青龍刀で美髪公……あんまりに戦う姿が美しすぎて、賊が見惚れている間に鬼神の如く首を刎ねる。も〜な、も〜むっちゃすっきやねん!」
「いや、あの、ええ!? わ、私は美髪公なんて言われているんですか?」
「なんやアンタ。自分の噂、知らんのかいな。そりゃも〜大変な噂やで!」
「そ、そうですか……あ、はは。はぁ……」
うう……私は、そんな噂になるほどの人間ではないはずなのだが。
確かにご主人様や桃香様と出会う前に、いろんなところの賊を倒して武侠を誇っていたが……
今となっては……あれは匹夫の勇だった、と反省するぐらいなのに。
「ほれほれ、見てみぃ。この飛龍偃月刀! あんさんの噂を聞いて、似たようなの鍛冶に作らせたんやで! も〜ほんま、お気に入りの一品やわ〜♪」
「そ、それは……どうも」
う、ううむ……いかん。
これは……恥ずかしい!
「な
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