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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
黄巾の章
第7話 「はにゃ? 愛紗、だれなのだ?」
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て全て。そう朝廷には報告して欲しい」
「ご主人様! そんなのおかしいよ、だってご主人様のおかげで……」
「桃香様……ここは黙って聞いていてください」

 鳳統が桃香を押さえる。
 なるほど、鳳統は北郷の臣と言っていたっけ。
 それなのに異論を唱えない……ということは。

「……本当にそれでいいのか? 別にアンタのほかに誰か……別の奴を仕立て上げて断罪することだってできるだろうに」
「俺の……いや、劉備の義勇軍にそんな人身御供にできる奴なんか一人もいないさ。するつもりもない。俺は俺のしたことは自分で始末をつける。だめならせめて共同戦線を頼む。そして桃香を貴方に頼んで、俺は朱里や雛里と三人で義勇軍を出てもいい」
「そんな……」
「ダメっ!」

 あたしが呟くと同時に、桃香が大声を出す。
 桃香の眼には涙が浮いている。

「ダメ! ダメだよ! 絶対にダメ! ご主人様が出て行くぐらいなら、私たちは官軍と手を組まない! 私たちだけで黄巾の人たちを懲らしめる! だからダメ! 絶対に出て行くなんてダメッ!」

 桃香の瞳に溜まっていた涙が、ぽろぽろとこぼれだす。
 ああ、本当に桃香は盾二のことを……

「…………」

 北郷はそんな桃香を見もせず、あたしの眼をじっと見ている。
 あたしの返答次第では……きっと桃香を振りはらってでも出て行くかもしれない。
 北郷、盾二、か……

 あたしはふう、とため息をついた。

「わかったよ。天の御遣いなんてただの噂。そんなことはなく、この義勇軍はただの義勇軍。大将は劉備。その義勇軍にあたしは助けられた……だからあたしに力を貸してくれるかな?」

 あたしがそう言うと――

「……ありがとう。馬超」

 北郷は、その凛々しい顔が一変して。
 あの、その、あう……

「あ、う……そ、そんな顔でお礼なんか言うな! というか……こっち見つめんな!」

 思わず顔をそむけてしまう。
 うう……なんというか、かっこいいのに可愛いというか、可愛いのに凛々しいと言うか……あうあうあー

「桃香。大丈夫……誓っただろう? 君の恩義に報いる、と。俺はまだ、それを果たしたとは思っていないよ」
「ぐすっ……やだよ? やだからね? 出て行っちゃ……やだよ?」

 桃香がまるで幼子のように……まるで父親と離れ離れになるのを拒むように、北郷の服を掴んでいる。
 その桃香を慰めるように北郷が頭に手を置き、撫でる。
 その姿がまるで親子のようであり……恋人であるように見えた。

「……なあ、北郷。あんたにもあたしの真名を預かってもらえないかな?」

 思わず出た自分の言葉に、内心驚くあたし。
 なんであたしは、真名を預ける気になったんだろう……

「……いいの
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